研究分担者 |
加藤 憲二 信州大学, 医療技術短大, 講師 (70169499)
渡辺 義人 信州大学, 繊維学部, 講師 (10021172)
市川 新 東京大学, 工学部, 助教授 (80010677)
小倉 紀雄 東京農工大学, 農学部, 教授 (30015127)
鈴木 基之 東京大学, 生産技術研究所, 教授 (10011040)
|
研究概要 |
昭和60年度より水域の浄化容量の解明を目的として, 河川については河道内の浄化容量, 湖沼については沿岸域の生態系特性の解明を中心として, 湖水の流動, 拡散過程を含めて研究を進めてきた. 本年度はこれらの研究を閉鎖性水域の環境保全の基礎的知見として総合的にとりまとめた. 成果の概要は以下に記す通りである. 研究成果報告書「閉鎖性水域の浄化容量」を刊行. 1.河道内における物質環境過程:モデル河川での実験研究から, 河川生態系が有機物の動態に果たす役割を考察すると共に, 自浄係数の算定(0.94〜4.5(1/day)および自浄作用に影響する因子を解析した(流量・水温・日射量・河床付着微生物量とその活性). これら現象の解明のための研究と併行して簡易的に一般河川の流達率を推定するための負荷解析モデルを作成し, 流達率に影響する因子の解析を行った. 2.湖沼沿岸域における物質動態と閉鎖性水域の水質予測:湖沼沿岸域での物質動態については諏訪湖, 琵琶湖, 木崎湖を主なフィールドとして水質, 底質ならびに生物群集の量と機能に関しての各データを集積してきた. 本年度はこれらのデータを補充すると同時に沿岸域での物質動態に果たす各種生物群集の役割を検討し, 総合的なとりまとめを行った. 閉鎖性水域の水質予測については, 現実に水質予測が必要とされている諏訪湖を対象として今後5年間の負荷量の低減が湖に与える影響を, 地域研究で提案した栄養塩-プランクトンモデルをベースとして, 修正, 適用し, 結果を得た. その結果, 各パラメータは湖の栄養度の状況によって随時修正する必要のあること, その修正に用いるパラメータの検索モデルが有用であることがわかった. 3.閉鎖性水域の保全における生物過程の意義:景観を含めて, 湖沼に生息する生物群集の保全が閉鎖性水域の環境保全に極めて重要であることが調査資料およびアンケートから指摘された.
|