研究分担者 |
及川 武久 筑波大学, 生物学系, 助教授 (70011682)
今井 勝 筑波大学, 農林学系, 助教授 (20125991)
内嶋 善兵衛 お茶ノ水女子大学, 理学部, 教授 (70193886)
村田 吉男 東京農業大学, 総合研究所, 教授 (70011997)
和田 秀徳 東京大学, 農学部, 教授 (50011870)
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研究概要 |
1.日本・東アジアおよび世界の植物の乾物産力を, 植生上でのガス交換過程に基づく気候学的植物生産力評価法(筑後モデル)を用いて評価した. 我が国の乾物生産力は北海道山岳地帯の8t/haから南西諸島の20t/haまで変化した. アジアにおいては, 乾物生産力10t/ha以上の高生産地帯が大陸東岸から東南アジア多島域にかけて分布していた. 世界分布では高生産地域は南北両半球とも45°以下の低緯度域にあり, 大陸上での高生産地域はきわめて狭いことがわかった. 2.CO_2濃度倍増時の気候シナリオを用いて, 日本の乾物生産力の変化を調べた結果, 約15%程度の増加があり, 増加の割合は北ほど大きかった. 3.CO_2濃度の増加が, C_3(イネ・ダイズ), C_4(ヒエ・シコクビエ)CAM植物(セイロンベンケイソウ)の光合成, 蒸散および水利用効率に及ぼす影響を測定した結果, 将来予想される高CO_2環境下では, C_3植物C_4植物とも生産は向上するが, 両者の差はすくなくなること, C_3, C_4植物とも水利用効率が高まり, より乾燥した地域への侵入が可能になることがわかった. CAM植物でも同様の傾向が認められた. 4.シミュレーション・モデルによる森林構造の解析では, CO_2濃度が高いほど, また入射光量が増すほど上層木の植物生産量が増加し, 中・下層木が減少して森林構造が単純化することが示された. また, 林外光量が現在の70%以下になると, 熱帯多雨林は崩壊することが明らかになった. 5.定常状態にある森林を一定間隔でくり返し伐採した場合の植物体の成長・枯死過程, 土壌有機物の蓄積・分解過程のモデル用い, 伐採後の処理と伐採間隔を変化させた場合の落葉樹林生態系の植物と土壌中の炭素蓄積量の変化を求めた. 伐期200年の場合, 系内の炭素蓄積量は完全に回復してが, 周期が短い程炭素蓄積量は減少した.
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