研究分担者 |
半谷 高久 MV研究所, 代表(都立大名誉教授
斉藤 平蔵 東京理科大学, 理工学部, 教授 (50010575)
末石 富太郎 大阪大学, 工学部, 教授 (00025834)
川上 秀光 東京大学, 工学部, 教授 (20010671)
沼田 真 淑徳大学, 社会福祉学部, 教授 (10009037)
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研究概要 |
都市と人間の相互作用の歴史は, 自然生態系の人為生態系化に, 現在的には近郊農村を含めた都市生態系の動態となって現われる. 我国最初の組織的研究が沼田真によって開始されて以来, 都市生態系研究は, 国連のMAB(人間と生物圏)計画の基本的な考え方のもとに, 生物生体的な立場から人間主体的な把握へ, 個別的理解から総合的理解へと発展してきた. 本研究ではさらに, 社会的文化的存在としての人間にとってだけではなく, 生物の一種としてのヒトにとっても快適でナチュラルなハビタット作りを企図する都市計画に寄与するよう, 共通のフィールド・ワークの対象地を千葉市・市原市地域に設定して, 協力者を含めて22名の参加者の研究の収斂と総合を計った. この結果, 都市の多側面の理解のための遷移度指数の考察, 都市への流出入物資の固次元評価のための変換法の開発, エネルギー有効利用のための潜熱変換モデル, 既存資料の都市計画への活用法など, 都市生態系理解と都市計画策定のための多くの有用な方法が開発された. 同時に, 都市化による近郊農村の変容過程, 子供の遊びの質・量的変化, 住民のアメニティ, 気候と快適性との関連, ペット動物の都市と居住民との関係などの多くの調査によって, 都市生態系のサブシステムを明らかにし, 環境諸要素の価値の評価視点を含めた都市モデルと, 都市計画の実施アニュアルを作った. これらの諸成果の発表会とは別に, 主題に沿ったシンポジュウムを開き, 国際的な研究史と動向にもとずいた, 都市計画策定のための提案などを討議し, 以上の全ての成果を, 和英の報告書にまとめて国内外に配布した. 今後はこれらの成果を実施にうつし, より適切な都市づくりのための諸問題を明らかにし, それへの対応法の詳細を得るための組織的研究・実験が必要となるように思われる.
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