研究分担者 |
木原 啓吉 千葉大学, 教養部, 教授 (70143245)
畠山 武道 立教大学, 法学部, 教授 (40062666)
岩田 規久男 上智大学, 経済学部, 教授 (60053683)
阿部 泰隆 神戸大学, 法学部, 教授 (80030617)
森島 昭夫 名古屋大学, 法学部, 教授 (80022416)
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研究概要 |
1.目的 日本各地における海浜地および山林の利用の実態を明らかにし, それが環境をどのように破壊ないし容変させているかを調査する一方, その法的・行政的制度の現状を明らかにし, また自然環境保全の運動を調査すると同時に, 海浜や山林の破壊と保全の経済学的・社会学的意味をも分析し, 外国制度をも参考にしつつ, 海浜地および山林地の利用と環境についてあるべき制度を追求する. 2.経過および成果の概要 実態調査によって明らかになった問題点を一般的な制度の検討の中に位置づけ, 比較法的な成果を踏まえて, 立法上の提言をまとめた. まず, 自然公園法および自然環境保全法については自然保護のための開発規制と観光事業の発展との調和, 自然保護と林業との調和をどのようにはかるかが主要な問題であるが, その地位に最も適した保護と利用との組合せを考えた利用区分別の公園管理, 同心円的に順次規制を緩めていく同心円保護規制への転換, および土地買い上げ制度の活用が解決策として考えられる. 次に, 海浜地の利用, 埋立ては推進される一方である. 公有水面埋立法は基本的に埋立推進立法の性格を持つから, 海浜環境の保全および改善のためには, 同法を廃止し, 海浜環境保全・改善・創造を目的とする法律の制定が必要である. また, 埋立をするには地元住民の同意は必要でなく, 地元住民は意見を提出することができる(公有水面埋立立法3条3項)が, その意見がどのように考察されたかは明らかにされていない. 地元住民は埋立について利害を有するから, 地元住民の権利強化が必要である. 最後に, ナショナル, トラストについて, より実効的たらしめるためにの諸方策が採られる必要があると同時に, 保護されるべき土地をすべて買い上げることは不可能である点にナショナル, トラスト運動の限界があるから土地利用規制の制度の立法措置が検討される必要がある.
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