研究分担者 |
前田 和茂 東北大学, 教養部, 助手 (20125652)
玉江 忠明 東北大学, 理学部, 助手 (10124174)
寺沢 辰生 東北大学, 理学部, 助手 (40004436)
武田 暁 東北大学, 理学部, 教授
菅原 真澄 東北大学, 理学部, 教授 (30004287)
庄田 勝房 東北大学, 理学部, 教授 (40004262)
|
研究概要 |
東北大学理学部原子核理学研究施設を中心にして行ったメルボルン大学との共同研究でこれまでに得られた標識付き光子による原子核反応実験の解析結果についての討議を行い, それをまとめる. 今後の共同研究に必要な資料およびデータの調査研究を行う. 東北大学で建設が計画されている次期加速器における実験課題の設定, 新しい測定器の建設, データ収集システムの設計についての調査を行う. 本年度の調査研究は, これまで行なわれてきた共同研究の総括と, 今後の研究推進についての討議を中心に行なった. とくに, 現在東北大学理学部原子核理学研究施設(以下核理研)において行なわれてきた標識付き光子による(γ,p),(γ,n),(γ,pn),(γ,pp)反応実験に関連して, 中間エネルギー領域(40〈Er〈100MeV)における光子吸収機構について広範な討論を行なった. このエネルギー領域は, 巨大共鳴のような集団運動や, △共鳴等の核子による光子の吸収の影響が少ない. したがって, この領域における光子吸収機構の研究は, π中間子電流効果や, 核内核子相関を調べる有効な手段の一つである. メルボルン大学との共同研究ではこの点に着目し, 偏極光子による^<12>C(γ,p), 及び, 標識光子吸収によって^9Be,^<10>B,^<40>Ca,^<209>Biから放出される陽子, 中性子の角度分析, 陽子ー陽子, 陽子ー中性子間のエネルギー, 角度相関の測定が行なわれた. これらの実験結果についての討議から, 中間エネルギー領域の光子吸収は準重陽子的に振舞う核内の陽子ー中性子対によって起こることが明らかになった. また, 討論を通じて, 中間エネルギー領域の研究の重要性が再確認され, 高精度の検出器を整備し, 同様な相関実験を今後とも継続することで合意した. 今回の共同研究は, 核理研で建設を計画している1GeV電子線加速器による(e,e'x)反応実験につながるものであり, 運動量移行の可変性を利用した原子核内核子相関や, 運動学, 及び反応機構の解明に発展して行くことが期待できる.
|