研究分担者 |
杜 伝書 中山医科大学, 医学系, 教授
黄 新美 中山大学, 人類学系, 助教授
杜 若甫 中国科学院, 古脊椎動物・遺伝研究所, 教授
張 振標 中国科学院, 古脊椎動物・古人類研究所, 研究員
呉 新智 中国科学院, 古脊椎動物・古人類研究所, 教授(副所長)
呉 汝康 中国科学院, 古脊椎動物・古人類研究所, 教授
新谷 忠彦 東京外国語大学, アジア,アフリカ言語文化研究所, 助教授 (90114800)
斎藤 成也 東京大学, 理学部, 学振特別研究員 (30192587)
平井 百樹 東京大学, 理学部, 講師 (60156635)
山崎 健太郎 筑波大学, 社会医学系, 教務補佐員
三澤 章吾 筑波大学, 社会医学系, 教授 (50086534)
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研究概要 |
中国南部の少数民族に関する日中共同の学際的研究の一環として, 海南島の黎(リー), 苗(ミャオ), 回(ホイ)等の民族集団につき自然人類学, 遺伝学および言語学に関する現地調査を行ない, 諸集団の関係ならびに日本人を含むアジア・太平洋地域の集団との関連性等につき研究する. 海南島のリー族・ミャオ族自治州にて下記の調査を実施した. なお, 昭和60年度の第一次調査においては, 自治州の東部に重点を置いたので, 今回は主として西部の集団につき調査した. まず, 自然人類学的調査(身体計測)については, 白沙地区の牙利老新村にてリー族成人101名, 什空村および翁村にてミャオ族成人52名, 東方地区および楽東地区にてリー族222名の計測および観察を行なった. ついで, 遺伝学調査のための採血(各5cc)を白沙地区にて次の通り実施した. 什空村及び翁村にてミャオ87名, 白沙民族中学にてリー150名, 白沙一中にて対照としての漢族101名. 採血した血液試料については, 現地で赤血球酵素G6PD欠損症のスクリーニングを行ない, リー族8名(5.3%), ミャオ族11名(12.6)%, 漢族4名(4%)の欠損型保有者を発見した. 血液試料は, その後直ちに広州市に運ばれ, 中山医科大学の実験室にて血液型及び染色体検査のための培養ならびに異常血色素(サラセミア)の検出を行なった. 血液型は10種(ABO,MNSs,Rh,P,Lewis,Duffy,Kidd,Kell,Lutheran,Diego)につき判定した(表1). 染色体標本はリー族と漢族251個体分につき, 3日間培養学, 合計1000枚作成した. 残余の血液試料は血清・血球を分離し, -80℃にて凍結保存した. これらについては現在, 北京の遺伝研究所において, 赤血球酵素及び血清蛋白の遺伝的多型(約10種類)を検査中である. 言語学的調査に関しては, 17名のインホーマント(リー族7, ミャオ族4, その他6)による基礎語彙の録音による収集を行なった. これにより, リー語5方言, ミャオ(ヤオ)語の他, ツンホア, ベイ, 文昌方言についても音韻分析が可能となった.
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