研究分担者 |
浅井 和春 東京国立博物館, 学芸課, 文部技官 (60132700)
杉下 龍一郎 東京芸術大学, 美術学部, 教授 (40015227)
益子 義弘 東京芸術大学, 美術学部, 助教授 (70173739)
茂木 計一郎 東京芸術大学, 美術学部, 教授
田口 榮一 東京芸術大学, 美術学部, 助教授 (50011333)
水野 敬三郎 東京芸術大学, 美術学部, 教授 (50015228)
長沢 市郎 東京芸術大学, 美術学部, 助教授 (40172522)
田淵 俊夫 東京芸術大学, 美術学部, 助教授 (20179865)
福井 爽人 東京芸術大学, 美術学部, 助教授 (30015284)
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研究概要 |
本調査は, 中国石窟(莫高窟)の石窟構造・彫刻や壁画の主題・様式・技法を, 美術史の立場から実地調査・研究するとともに, 主要な壁画の精密な模写を作成し, また壁画の保存・修復についての観察調査をあわせ行うことによって, 東西仏教美術交流史, 中国及び日本古代絵画・彫刻史上の意義を明らかにする. 本年度は初唐時代の窟を中心に調査を行うと共に, 関連する天山南路のキジル石窟などを見学して, 中国西域石窟芸術についての知見を深める. 昭和62年度第3次調査では, 第1・2次調査で西魏から隋代の石窟を中心に調査したので, 主に初唐の代表的な石窟(057・220窟など)を選び, 石窟の構造・壁画や塑像の詳細な観察・記述を行った. それにより初唐期において壁画や塑像表現の著しい発展が見られ, 中国中央さらには日本の法隆寺金堂壁画などときわめて密接な関係にあることを具体的に明かにすることが出来た. また, 模写のため, 057・220・217窟などの壁画の写真撮影を敦煌研究院の手によって行ってもらい, 同時にカードによる色合わせを行い, その一部の模写を作成した. 公開されている全窟を概観して, 石窟の構造・壁画・塑像の時代的変遷の比較を行い, 初唐期石窟の位置づけを行った. 壁画の保存状態について, 特に窟内の温度や湿度などのデータを集めると同時に測定器具を設置し, 引続き測定を行うことを依頼した. 調査期間中に並行して行われた敦煌石窟研究国際討論会に参加し, 研究代表者が講演を行い, 討論に参加することによって, さまざまな新知見を得ることが出来た. また, それに先だって, 天山南路沿いのクムトラ・キジル石窟などを見学し, 敦煌以西における石窟芸術の様相を詳しく見聞し, 敦煌石窟研究に反映させることが出来た. 調査期間中に敦煌研究院スタッフと壁画保存についての今後のあり方, 特に日本の援助の計画について討論し, 保存に関するさまざまな合意が得られた.
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