研究分担者 |
大塚 公雄 京都大学, 理学部, 教務補佐員 (00211798)
細馬 宏通 京都大学, 理学部, 教務補佐員 (90275181)
近 雅博 京都大学, 理学部, 教務補佐員 (00211912)
疋田 努 京都大学, 理学部, 助手 (40135512)
今福 道夫 京都大学, 理学部, 助手 (60135506)
石井 実 大阪府立大学, 農学部, 助手 (80176148)
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研究概要 |
マレーシア湿潤熱帯は世界でももっとも生物相の豊かな地域であり, 貴重な場所である. われわれは過去4回にわたりこの地域で, 動物相, 小動物の行動, 生活史などについての調査をおこない, 興味深い成果を蓄績してきた. 今回はその成果の上に立って, 昆虫を中心とした小動物の行動戦略を調査し, 熱帯における小動物の生活戦略の理解をさらに深めるとともに, 動物行動学・行動生態学の分野に新しい視野を開いてゆくことを目的とした. 1)アルビジアを枯死させるAlbizia borerの調査を1985年に引続きBrumas植林地においておこない, 前回得た結論を確認するとともに, 少数ながら雄成虫を採集し, 現在その性フェロモンの解析をおこなっている. 2)Brumas植林地およびsepilok原生林において, 家族生活をするので有名なクロツヤムシ9種, 51コロニーを調査し, 巣の創設様式, 家族構成などに関する貴重な資料を収集した. 帰途, 香港島山地において, 比較観察をおこない, 温帯・亜熱帯との比較における熱帯での生活様式について有益な示唆を得た. 3)熱帯ではほとんど唯一の腐食者(scavenger)である糞虫相とそれらの行動について, Brumas植林地, Sepilok原生林, Sungai Manila草地における比較研究をおこない, コガネムシ亜科とマグソコガネ亜科という糞処理行動の異なるグループの分布と植生との関連を明らかにすることが出来た. 4)熱帯にのみ見られるハラボソバチを中心にして, 真社会性アシナガバチ類の行動を, Brumas植林地とSepilok地区で観察した. ハラボソバチ類があちこちの巣の世話をすることなど, 理論的な示唆に富む事実を明きらかにし得た. 5)各地(市街地を含む)の大小各種の水たまりに産卵するトンボ類について雄のなわばり行動を, 採用可能な代替戦略という観点から観察した. とくに多くの観察資料の得られた2種について, 現在詳しい解析をおこなっている. 6)Sepilok原生林において, ヤモリ科, キノボリトカゲ科, トカゲ科, オオトカゲ科の4科29種のトカゲ類について, 熱帯種についてはほとんど調査のない体温調節行動を調べ, 貴重な資料を収集し得た. また採集個体について核型の調査をおこない, 目下そのデータを解析中である. 7)その他, 各地において多くの小動物について予備的調査を行った. これらは今後の調査においてさらに研究を進める予定である.
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