研究分担者 |
葵 慶華 中国科学院, 水生生物研究所, 助手
劉 肖芳 中国科学院, 水生生物研究所, 助手
陳 少蓮 中国科学院, 水生生物研究所, 助教授
劉 建康 中国科学院, 水生生物研究所, 教授
東 正彦 京都大学, 理学部, 学術振興会特別研究員 (40183917)
立川 賢一 東京大学, 海洋研究所, 助手 (20013584)
岩田 勝哉 和歌山大学, 教育学部, 教授 (10031816)
小長谷 庸夫 三重大学, 生物資源学部, 教授 (30024821)
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研究概要 |
世界の多くの湖沼で進行する富栄養化によって無脊椎動物一魚類の食物連鎖が優占する群集形態から植物プランクトン一魚類連鎖の優占する群集形態へと移行しつつある. この移行は水域の魚類生産能を向上させるが,上水道などの水利用には水質の悪化とゆう困難をもたらし,またリクリエーションの場としての価値を低下させる. 富栄養化の進行する中でこのように相反する2つの利用目的を如何に合理的に解決するかが本研究の目的である. 1.魚群探知機による魚類現存数の推定 今年度は成長の始まる6月より集中漁獲のある10月まで,毎月1回推定調査を行った.記録紙の読み取り作業は現在進行中であるが, 7月までの結果をみると例年より20%程度密度が高い.また,10月の漁獲物測定によると,ハクレンの成長が例年より悪い.おそらく過密度による餌条件の悪化が関係しているものと思われる(4の項参照). 2.夏期におけるハクレン,コクレンの湖中行動量 テレメトリー装置をパワー・アップしたので,24時間以上の連続記録に成功した.その結果ハクレンは表層を良く利用し,コクレンは底層を良く利用することが判った.行動量については現在分析中である. 3.夏期におけるハクレン,コクレンの生産諸量 安定同位体^<13>C,^<15>Nを用い,藻類から魚へと物質の流れる速度を推定するための実験を行った.現在持ち帰った試料中の安定同位体の定量分析を行っているが,結果を出すには至っていない. 4.プランクトンー魚類サブモデルの解析 昨年より生物生産期における東湖の植物プランクトンの様相が変化し,Microcystisを主とする群体をつくる藍藻優占型から,小型の緑藻優占型に移行している(中国側の調査結果).この要因として過密度になったハクレンによるオーバーグレイジングが考えられる. 小型藻類優占型になったことによって,ハクレンの餌条件は悪化し,逆に動物プランクトンに好条件を与える.その結果,緑藻一動物プランクトンーコクレンで形成されるサブシステムの存在が浮かび上がってくる.プランクトンの分析結果を得て,このサブシステムの解析をおこなう.
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