研究分担者 |
姜 書礼 中国江西省科学技術委員会, 工程師
〓 信仲 中国江西省林業庁, 工程師
李 昌華 中国科学院, 自然資源考察委員会, 副研究員
〓 曙光 中国科学院, 自然資源考察委員会, 研究実習生
李 文華 中国科学院, 自然資源考察委員会, 常務副主任
太田 岳史 岩手大学, 農学部, 講師 (20152142)
片桐 成夫 島根大学, 農学部, 助教授 (00032649)
千葉 喬三 岡山大学, 農学部, 教授 (10036741)
鈴木 雅一 京都大学, 農学部, 助手 (10144346)
福嶌 義宏 京都大学, 農学部, 助手 (00026402)
玉井 重信 京都大学, 農学部, 助手 (60026606)
岩坪 五郎 京都大学, 農学部, 助教授 (00026395)
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研究概要 |
森林の物質循環に関する研究は林木と土壌及びそれをとりまく環境との間の相互作用を定量的に解明するものである. 熱帯とくに亜熱帯の森林におけるこの分野の研究は極めて少く, これらの地域では, 急速な農業開発燃料のための伐採などにより, 森林は減少し荒廃しつつある. 中国江西省〓江流域では現在まさにこの問題に直面している. 本研究は, この地域の天然林と荒廃林の物質循環に関する基礎的研究を行い, それによって森林の保全と荒廃地の回復に関する生態学的な基礎を明らかにすることを目的としている. 中国江西省の〓江流域の過度に人為破壊を受けたPinus massoniana人工林と比較的人為を加えられていない天然生照葉樹林に調査地を設定し, 水と物質循環を通して森林の植物,土壌,そして それをとりまく環境の関係を調べた. P.massoniana林に2つの試験区を設定し各々の試験区内に(1)リター,下層植生を除去したもの,(2)自然状態に放置したもの,(3)施肥の効果を調べるものの3プロット(10×20m)を作った. この林分は植栽密度が12000〜15000/haで22年生である. 植栽されたマツの生長は良いが下層植生は極めて貧困でありA. 層の畜積量も非常に少なかった. 毎木調査の結果は表ー1の通りである. これらの値をみると, 林分は十分な閉鎖に達しておらず, にもかかわらずコシダを主とした下層植生は各試験区で, 12.3,15.8t/ha(生重)と少なくまたA. 層も100g/m^2(生重)と非常に少ない. 6本の伐倒調査の結果より樹体の各部分重, さらにリター量,A. 層量を求め, 現在, 化学分析により物質動態を調べている. 江西省九連山の亜熱帯天然生照葉樹林に小流域の流出量と物質循環調査のための試験区を設定した. その中及び隣接地に40×40m(PLOT JSー1),30×40m(PLOT JSー2)の大きさの2つのプロットを設定した. 毎木調査の結果は表ー2の通りである. JSー1はPinus massoniana と Castanopsis spp,林床にDicranopteris dichotomaが優占している常緑広葉樹林で, 下層にはCastanopsis spp,が多かった. JSー2は, Alniphyllum fortunei,Choerospondias axillarisなどの落葉広葉樹が上層に混交していたが全体では間数(46%),胸高断面積合計(64%)ともにCastanspsis spp,が優占していた. 中層はJ半ー1と同どであった. 両林分ともP.massonianaや落葉広葉樹林から, Castanopsis林へ移行しているものと思われる. 現在整理中の伐倒調査結果と樹体,土壌の化学分析により今後この両林分の樹木と養分の動態が明らかになるであろう.
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