研究分担者 |
作野 友康 鳥取大学, 農学部, 教授 (10032567)
小谷 佳人 鳥取大学, 農学部附属砂丘利用研究施設, 教授 (90032078)
白石 真一 九州大学, 農学部, 助教授 (40154356)
伊藤 代次郎 愛媛大学, 農学部, 助教授 (80036318)
遠山 柾雄 鳥取大学, 農学部附属砂丘利用研究施設, 助教授 (00038267)
濱崎 敬 鳥取大学, 農学部, 教授 (40032081)
杉本 勝男 鳥取大学, 農学部附属砂丘利用研究施設, 教授 (10154486)
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研究概要 |
本学術調査は昭和51,53年度の2度にわたってイランにおいて行われた調査結果の農学的実証を政情の比較的安定し, かつまた広大な乾燥沙漠地帯を有するメキシコで行うものである. 乾燥沙漠地における農業生産にとって「水」は最大の制限因子であることは言をまたないが, 不用意なかんがいは肥沃な耕地を荒廃に導き, 耕作不能地へと化す. かんがい農業は一時的に農業生産量の増大をもたらしたが, 塩類集積によって意外に短命であるという事実に着目し, 乾燥沙漠地における農業を永続させ, さらに生産性の増大をもたらすための諸条件を明確に把握し, 生産性増大を実証しようとするものである. 第1回を昭和58年度,第2回を昭和60年度,第3回を昭和62年度にそれぞれ6名,9名,8名の研究組織で実施した. まず気象観測の結果から,世界の沙漠地,南北両アメリカの沙漠地との対比により気象環境の特徴を明らかにした. 個々の気象環境は沙漠特有の気象条件を示した. しかし内陸沙漠と比較すると, 海岸沙漠の特徴を見出すことができた. 特に, 夜間の湿度が高いために結露現象により, 沙漠植物の分布にも面白い調査結果となって表われた. この沙漠地の年間の年間を通じての野菜等の栽培の可能性を見出すことができた. 上記の気象環境の下で野菜栽培の研究に入った. 栽培土壌は塩類収積を回避できる唯一の土壌として砂を培地に使用した. また, かんがい水はドリップかんがい法を用いて, かん水量,かん水時期など野菜栽培に節水的手法を追求した. その結果, 野菜栽培は不可能と信じられていた沙漠での実験成功は, 現地で非常に大きな反響をよんだ. そして, それは将来に対する大きな期待へとふくらんでいる. いずれにしても, 本研究は現地において野菜栽培技術の確立という実証的研究を積み重ねているため, メキシコの協同研究者やメキシコ政府から大きな反響と期待を得ており, 今後の研究続行を強く申込まれている. 昭和58年度から継続して野菜栽培を実施している研究圃場では, 非常に集約的な輪作が重ねられており, また, 使用されているかんがい水には約1000ppmのNaClが含まれているため, 塩分が土壌中で集積されている. 沙漠農業における塩類集積の問題は沙漠緑化の根幹の問題である. このため, 現地の実験圃場では当初からかん水量をチェックしており, 今年で7年目を迎えた. 沙漠での耕地の保全, 永続性を検討する上からも研究を続行したいと考えている.
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