研究分担者 |
C. A. LANDIS オタゴ大学, 助教授
D. S. COOMBS オタゴ大学, 教授
吉倉 紳一 高知大学, 理学部, 助教授 (10093957)
鈴木 盛久 広島大学, 理学部, 助教授 (10033888)
梅村 隼夫 高知大学, 理学部, 助教授 (70036557)
波田 重煕 高知大学, 理学部, 教授 (40036554)
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研究概要 |
アジア・太平洋地域に分布する変動帯の中で, 西裕日本外帯とニュージーランド南島の詳細な比較調査研究をもとにして造構場の全体像を総合的・実証的に検討し, その地質構造発達史を解明することを主要な目的にしている. 特に, 昨年度の予備調査結果を踏まえて, ニュージランド南島オタゴ南西部のミルトン地域に分布する『Chrystalls Beach Complex』の地質精密調査を主調査地域とし, 本地域との関連で北島南部並びに南島北〜中央部の主としてメランジェ帯の調査研究をも実施し, 西南日本外帯の付加体との類似点並びに相異点を明確にし, 両変動帯のテクトニクスを解明することを目的した. 本調査研究地域は, 研究分担者であるオタゴ大学のD.S.Coombs教授及びC.A.Landis助教授と共にプロジェクトを組み, 昭和62年度(昭和62年10月20日〜12月18日)の本調査を実施した. 主な調査研究地域はオタゴ南西部のクリスタルズ・ビーチ(Chrystalls Beach)地域とオタゴ北部のアカタラワ(Akatarawa)地域を重点的に調査した(第1図). クリスタルズ・ビーチ地域は, 南島のダニーディン市南西約50キロメートルに分布するケープルス帯に属し, 海岸線に沿って広く露出している(第1図). 本地域のケープルス帯は南部のパンペリー石ーアクチノ閃石帯から, 北部の黒雲母帯へ変成度が上昇する弱変成帯であり, 付加体コンプレックスとして注目されている. 構成岩類は, 砂岩・泥岩を主体とするタービダイト質の互層部と枕状溶岩やハイアロクラスタイトの玄武岩質岩石・チャート・酸性凝灰岩(?)からなる遠洋性〜半遠洋性の互層部に分けられる. 地質調査は主として海岸線に沿って行なわれ, ルート・マップと地質断面図の作成がほぼ完了した. 随所に微化石(主として放散虫)及び大型化石を産するが, 現在までに時代を正確に決定する化石は得られておらず, 今後の研究にゆだねられる. 変形作用については, 今回の調査研究により5つの変形時相を識別することができ, 南部より北部へ向かって変形の程度が上昇していくことが明らかになった. また, 北部のハースト・シスト帯と変形構造は連続していることもほぼ確実になった. 一方, アカタラワ地域は, ダーニーディン市の北約120キロメートルに位置し(第1図), 現地調査と採集された試料について種々の方法で検討した結果, これまでトーレス帯に含まれていた"ペルム系"はハースト・シスト帯に含められるべき地質体で, しかもメランジェであることが明らかになった.
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