研究分担者 |
P Menasveta チュラロンコン大, 理学部, 教授
T Piyakarnch チュラロン大, 理学部, 教授
S Sudara チュラロン大, 理学部, 助教授
酒井 一彦 琉球大, 熱海センター, 助手 (50153838)
日高 道雄 琉球大, 理学部, 助手 (00128498)
土屋 誠 琉球大, 理学部, 助教授 (40108460)
仲宗根 幸男 琉球大, 教育学部, 助教授 (60044913)
香村 真徳 琉球大, 熱海センター, 教授 (90044982)
山里 清 琉球大, 理学部, 教授 (80044973)
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研究概要 |
タイ国シャム湾湾奥部にあるシーチャン島周辺は, 大きな河川が流入するため塩分濃度の年間変動が大きく透明度も低く, 人間の諸活動の影響を受けやすい内湾水域である. このような環境のサンゴ礁群集の特性の解明と, その成立のメカニズムを探ることが本研究の目的である. これまで研究例が少ない内湾性サンゴ礁群集の構造的特性の解明という学術的意義の他に, その研究成果を, 沖縄及び他の外洋性サンゴ礁生物群集と比較することによって, サンゴ礁生態系の総合的理解にもつながるであろう. また研究の成果は, サンゴ礁海域で今後益々進行すると思われる環境汚染に対する群集の反応を知る基礎資料となり, サンゴ礁における浅海栽培漁業の発展と, その有効な管理方策の策定の役立つ基礎的知見ともなり, 現実的意義も大きいと思われる. 調査地を内湾性サンゴ礁生物群集が発達しているシーチャン島周辺に設定し, 数地点のサンゴ礁生物群集を重点的に調査した. 調査地点は一次調査の成果を踏まえてそれぞれの調査項目毎に最も適当な場所を選定し,主として次の項目について調べた. (1)主要なサンゴ3種を選び,その個体群構造を把握する為に詳細なマッピングを行ない,多くの資料を収集すると共に,成長解析の為のマーキングによる追跡調査をスタートさせた.(2)内湾性単体サンゴの個体群構造を調べ,かつそれらのもつ特徴的な無性生殖に関する多くの知見を得た.またサンゴの裂断のメカニズムを探る為の骨格構造の解析用に多くの資料を得ることが出来,その解析に着手した.(3)ハナヤサイサンゴの群体に住む生物群集をとくに甲殻類に着目して調べ,内湾に特徴的と思われるような群集の様相を幾らか知り得たが,これは更に沖縄海域における同様な生物群集との詳細な比較研究に展開したい.(4)砂底に生息する大形底生生物の生態分布と個体群構造を解明し,野外及び室内実験によってそれらの活動が底質を攪乱する事によって砂底生物群集内で果している生態的役割の一端を解明した. (5)底層性プラントクン群集の日周活動性についての多くのサンプリングを行なったが,資料は解析中である. (6)糸状海藻群集に及ぼすウニと魚類を主体とした大形のグレイザーの役割を,野外における囲いこむ実験によって一部解明できた.またその他のグレイザーについても基礎的資料を収集した.(7)魚類群集,とくに補食性魚類の分布と食性を調べる為の資料を多数収集した.現在その処理を一部行ないつつある段階である. (8)サンゴの生殖周期を解明する為の資料を主な種について11月と2月の2シーズンについて得た. これから継続して行なわれる資料収集と組織切片の観察などによって,内湾性サンゴに関する知見が得られる予定である. (9)調査海域の環境一般の測定を行ない,海況を把握した.
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