研究分担者 |
PULAT Otkan アンカラ大学, 言語・歴史・地理学部東洋言語文学科, 主任助教授
内藤 正典 一橋大学, 社会学部, 講師 (10155640)
堀川 徹 京都外国語大学, 外国語学部, 助教授 (60108967)
中林 一樹 東京都立大学, 理学部, 助教授 (80094275)
金坂 清則 大阪大学, 教養部, 助教授 (00092825)
松田 磐余 東京都立大学, 理学部, 助教授 (60087145)
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研究概要 |
イスラム社会の本質は都市にあるのでイスラム文化の理解のためには, 都市を中心として周辺農村をとりこんだ機能地域の視点から研究をする必要がある. イスラム都市の中心機能は商業である. そしてトルコを研究することは, アジア的要素とヨーロッパ的要素の接点として, 第三世界的と近代的西欧的社会との両側面をみることができる. 伝統的な都市の諸施設は建設者の果たした役割及び都市構造に及ぼした影響を検討することにより, トルコ的な要素とアラブ的な要素とを対比する視点が必要である. 本研究では, 近年の都市地理学研究の潮流のひとつである都市システムの立場から, オスマン帝国時代に形成された都市システムが解体され, 新たに組織化される過程を問題とする. 1.フランス, エクス・アン・プロバンス大学, CNRSにおけるアラブ研究者との交流においては, フランスのアラブ地域研究の現状を知り, 資料・文献の豊富さ文献整理の機械化とに日本も学ぶべきことが多いことを理解した. 2.シリアにおいては主として, アレッポ市におけるここ1世紀ほどの期間の都市発達を各種資料および現地聞き取り調査により行った. とくに都市・農村関係という視点で, 旧市域北東部のバーブル・ハディッド地区におけるハーンを中心とした機能と形態の変化を地理学的, 社会学的, 歴史学的, 建築学的, 都市計画学的な立場からインテンシブな調査を行った. 現地研究者ならびに関係諸機関は極めて協力的であり, 近現代に関する都市調査の継続を望んでいた. 3.トルコにおいてはアンカラ大学の協力のもとに, 全域にわたる都市発展に関するエクステンシブな調査を行った. イスタンブール, アンカラ, イズミール, トラブゾン, ディヤルバクール, ガジアンテプ, アダナ, エルズルーム, エディルネの各都市を訪れて, 市役所を初めとする関係機関から都市発展に関する資料の収集とくに, 近年における都市計画の概要および都市計画図, 各種地図類の収集に努めた. 4.63年度は総括調査費を申請中であり, これらの収集資料を整理して, 2種類の報告書の出版に向けて研究活動を行っている. 5.今後さらに研究を進めるためには, 64年度にこれらの地域における都市発達に関するよりインテンシブな調査, およびイギリス, フランス, ドイツなどの諸国における資料の収集を行うことが必要と考えられる.
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