研究概要 |
インド国立タタ研究所と協力し, 世界最深のインド・コラー金鉱地下深部6,045及び7,000米水深相当の場所で, 宇宙線ミュー中間子及びニュートリノの基本量の観測に加え, 核子崩壊現象, 磁気単極子等の超重粒子の探索を行い, 素粒子理論における大統一理論の検証を行う. インド・コラー金鉱地下6,045及び7,000米水深相当の場所で, 総重量約400トンの装置を用いて, 地下深部宇宙線及び核子崩壊現象の観測を行った. 大気発生のミュー中間子と岩石内発生のニュートリノ現象の角度分布は期待値と良い一致を示している. 地下7,000米水深相当のデータは天頂角0°〜55°で,地表での平均ミュー中間子エネルギー13TeVから200TeVに相当する. 地表でのミュー中間子の積分エネルギー・スペクトルを算出し, ミュー中間子の直接発生の比率を求めると〜10^<-3>と推定される. これは, 現在までに得られている衝突エネルギー領域で作られるψ,D°等に基ずく直接発生ミュー中間子に関する予想と一致する. 一方,多重ミュー中間子から得られるdecoherence curveを用いると,平行ミュー中間子の平均分離距離は各々1.4m及び1.7mと推定され, これから〜10^<16>eV領域の核相互作用の二次粒子の平均横運動量の値を求めることができる. その値は10^9〜10^<14>eVにおける値の約2倍,1GeV/C程度となっている. ニュートリノによる重い長寿命粒子も観測された. 又,ニュートリノの到来方向からニュートリノ点源探索も行ったが,現時点では,有意な点源は見出されていない. 陽子崩壊現象も観測され, 崩壊の型から言えば,Super Symmetry型の理論による予測に近い様に思われる. 磁気単極子は電離損失,ルバコフ効果及び飛行時間差法の三方法で追求しているが現時点まで一例も観測されておらず10^<-3><β<1に対し, その流れの上限として約5×10^<-15>/cm^2.sec.strが得られている. 地下6,045米水深相当に建設中の装置は,比例計数管の搬入も完了し,テストデータを記録している.
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