研究分担者 |
金 伯生 中国対外貿易部, 国際貿易研究所, 研究員
浜口 登 早稲田大学, 社会科学部, 助教授 (70180932)
樋口 美雄 慶應義塾大学, 商学部, 助教授 (20119001)
吉岡 完治 慶應義塾大学, 産業研究所, 助教授 (80051887)
黒田 昌裕 慶應義塾大学, 商学部, 教授 (50051636)
KIN Hakusei INTERNATIONAL TRADE RESEARCH INSTITUTE MINISTRY OF FOREIGN ECONOMIC RELATIONS&TR
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研究概要 |
中国工業製品貿易拡大の日本及びアジア地域分業関係に及ぼす影響についてー輸出供給隘路発生メカニズムの検討ー 現地調査の対象地域は内陸部二地域, 沿海部二地域であり, 訪問機関は各省の経済計画委員会, 対外貿易委員会, 国際貿易研究所と生産現地である公司及び工場であった. 生産現地としては, 調査目的が輸出供給に対する国内生産の隘路のヒアリングにあったため加工組立型の産業ー計測機器, ミシン, テレビを選んだ. 調査結果の概要は次の通りである. 1.ほとんどすべての調査対象機関が国内中間財の供給不足を指摘した. 2.中間部品の国内調達が品質の点からも困難である場合に輸入にたよらなければならない. この際には外貨バランスを各省, 各企業といったミクロレベルにまで課しいる点が制約となる. 3.国内需要圧力による輸出余力の不足を指摘するケースも多かった. 4.対外情報の不足, 情報コストの高さ, 品質やデサイン・包装といった情報不足による隘路をあげる場合も多かった. 5.対日輸出については日本の生糸, 縫製品に対する数量規制(上海)や農産物に対する関税と検疫(四川)のように主要輸出品についてのべるケースが目立った. 本調査結果から今後に残された研究課題を列挙すると次の通りである. 1.中国の輸出構造が加工組立型の工業製品へと転換するにつれてさまざまな供給隘路が生じている. 最も基本的なものは, 運輸・通信・エネルギーといった基幹部門での隘路である. 従って今後は中国の産業連関のなかで各輸出部門が他部門とどのように結びついているかという産業連関分析手法をもちいた分析が必要である. 2.規格デザインといったソフトの技術不足の隘路に対しては外資導入が有効な手段となる. 従って, 外資導入と輸出伸長との関連を分析する必要がある. 3.外資が中国で生産活動を行うためには外国為替市場の整備がぜひ必要となる. 最近の外貨交換センターの設立とその仕組みを検討する必要がある.
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