研究分担者 |
T Saemundsso アイスランド大学, 科学研究所, 教授
J Holtet ノルウェー極地研究所, 研究部長
I Iversen デンマーク宇宙科学研究所, 研究員
利根川 豊 東海大学, 工学部, 講師 (80188763)
小野 高幸 国立極地研究所, 研究系, 助手 (10141996)
山岸 久雄 国立極地研究所, 資料系, 助手 (20132714)
巻田 和男 拓殖大学, 工学部, 助教授 (40129945)
荒木 喬 弘前大学, 教育学部, 助教授 (10111220)
江尻 全機 国立極地研究所, 研究系, 教授 (30013692)
桜井 亨 東海大学, 工学部, 教授 (00004416)
國分 征 東京大学, 理学部, 教授 (00011502)
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研究概要 |
極域電磁現象は, 自然電波, 地磁気変動, 銀河電波雑音の吸収, オーロラ光等と多様である. オーロラに伴うこれらの現象は極めて広範囲にわたる地域において相互に強く関連し合って出現するものであることが判明しつつあるが, 関連性を決定するものが何であるかという点がオーロラ物理学における大きな問題となっている. この問題を解決するため, 広範囲の地域にわたって極域電磁現象を観測し, 関連性を詳しく知る必要がある. 従って, 本調査研究は地磁気共役点相互, 地磁気の緯度方向及び経度方向における関連性について, 極域電磁現象の全体像を明らかにすることを目的とする. グリーンランドにおいてはウペルナビーク及びゴッドハブンにて小型のVLF自然電波受信機を携行して観測を実施した. 一方, アイスランドにおいては, フッサフェル, ホフ, フサビーク及びイーサフィヨルズルにてフラックスゲート磁力計, リオメータ, VLF受信機, フォトメータ, オーロラTV等を使用した観測を予定通り実施する事ができた. 62年度における観測結果中特筆すべき事は, 観測期間中に3回のPg脈動現象の事例が磁力計観測により得られた点である. Pg脈動はこれまでその伝播のメカニズムや発生領域に関して謎の多い現象であるが, 今回の観測データ初期解析の結果ではアイスランド内の4点において質の高いデータが得られており, 地磁気の緯度方向及び経度方向の関連性については脈動の位相解析の手法を用いて明らかにする事ができる. また, 南極昭和基地, あすか基地で同時に観測されたデータと合わせて解析する事により, その伝播モードを決定する見通しをつける事ができた. さらに昭和基地並びにアイスランドにおけるデータを吟味する事により, 昭和基地の地磁気共役点の厳密な位置並びにその時間的な遷移を測る見通しをつける事ができた. 地磁気共役点の厳密な位置の測定や特にその時間的遷移はこれまでモデル計算によってのみ推定されてきたが, 今回の観測はこれを実証する第1のステップとなるものである. これらの観測の成果については, 第11回極域における電離圏磁気圏総合観測シンポジウム(国立極地研究所主催)においても発表が行なわれた. 今後は, 磁力計による観測結果以外のオーロラ現象についても同様の解析手法を試みて理解を深めていく予定である.
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