研究概要 |
銀河系内ではいまでも新しい星の誕生が相次いで行われていると考えられている. このような場所は星の生成材料である低温, 濃密なガス雲(分子雲)と生れたての星の出す強力な紫外線によって電離されたHII領域が複雑にからみ合った領域を形成している. このような領域をもっともよく表現すると孝えられているOI線(63μm), CII線(158μm)の遠赤外スペクトル線を気球に搭載された高分解能分光器によって観測するのが主要な目的である. これによって生成過程をよくよく理解するとともに, 銀河系の進化との関連が明らかにされる. 当該研究の目的を達成するためには, 観測する遠赤外線が地球大気による強い吸収と, またそれの出す強力な熱放射によって著しく妨害されることを避けて, 観測器を気球に搭載して行う必要がある. このような目的のため口径50cmの気球搭載用の赤外線望遠鏡を開発し, 昭和60年, 61年の2度にわたってオーストラリヤにおいて観測を行った. 2度目の実験では回収時に望遠鏡が多大の損傷を受けたので, 今回は望遠鏡の枠組を強化し, その他の機構とも改良を加え, 落下時の耐衝撃を強くし, 上空での操作性向上をはかった. 一方, 分光器もファブリペロー型のものを導入し, 分解能の向上とともに環境放射の影響をおさえて大中な検出能力の向上が達成できた. 気球実験に関しては米国側の共同研究者と2度にわたって観測器整備の分担, 観測計画について, また気球飛翔基地の現地技術者と気球飛翔について綿密な打合検討を行い, 気球実験についての整備万旦は整った. その結果, 観測目標, 気象条件の両者から勘案して, 気球飛翔は5月下旬から6月上旬にわたって計2回行うことに決定した.
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