研究分担者 |
クローディオ ティリベリ トリエステ大学, 医学部, 教授
レナルド ギアレリ トリエステ大学, 医学部, 教授
神代 正道 久留米大学, 医学部, 教授 (90080580)
奥田 邦雄 千葉大学, 医学部, 教授 (40009519)
小林 健一 金沢大学, 医学部, 助教授 (70019933)
TIRIBRLLI Claudio Trieste University, Dept. of Medicine, prossor
GIARELRI Leonard Trieste University, Dept. of Medicine, prossor
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研究概要 |
本邦の肝癌の過半はウイルス肝炎に引き続いて起った肝硬変症を基盤として発癌し, 50歳代に年令のピークを有するが北イタリアのトリエステ市は特殊な市で全死亡の80ー90%が剖検され, この市の肝癌の過半は高令者の定型的なアルコール性肝硬変に合併するものである. このような肝癌の発癌機構と本邦のウイルス感染を基盤とする肝硬変からの発癌を比較検討する. 北イタリアのトリエステを主体に,その他ボローニヤ大学医学部の剖検材料を調査した結果,肝硬変の過半はアルコール性小結節性肝硬変である. ことにトリエステ市の剖検率は全死亡の8割に近く疫学的にも信頼できる発生頻度を計算する事ができた. 又肝硬変および肝癌の肉眼材料を検討し, 材料を持帰って再検討したがやはりアルコール性肝硬変で癌そのものは数が数個いわゆる多結節型のものが多かった. その中には本邦でみられるようなnodulesーinーnodulesのような病変は認められなかった, 又Dysplasiaも少なかった. 即ち組織学的にも本邦の肝炎後性肝硬変からの癌発生の場合と基盤に差がみられた. 疫学的な最も著明な差は発癌年令であった. 即ちトリエステの肝癌患者(剖検時)の年令は訂正年令でみると70才にピークがある(添附表)が, 本邦の肝癌患者の年令ピークは50才で約20才の差があり,この差はMantelーHaenszel検定で有意である. 又 死亡時の癌は比較的小さく癌死よりも肝不全死が多く, いいかえるとアルコール性硬変肝が発癌するまでにはウイルス性肝硬変よりも20年間長く期間を要するという事で, 見方をかえれば, アルコールそのものには強い発癌性はなく, ウイルス性肝硬変の方が早く発癌するという事がいえる.
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