研究分担者 |
STEVEN Piant The Johns Hopkins Oncology Center, Oncolo
信友 浩一 厚生省, 国立療養所課, 課長(九州大学医学部非常勤講師) (90037424)
光山 孝志 九州大学, 医学部, 医員 (00253419)
橋本 修一 九州大学, 医学部, 医員 (00243931)
冨安 幸博 国立がんセンター, 医員
矢川 克郎 九州大学, 医学部, 助手 (90183665)
広畑 富雄 九州大学, 医学部, 教授 (50102075)
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研究概要 |
近年肺癌の増加は他臓器関に比し, 特に著しいので, その増加の要因を明らかにすることが, 緊急に必要と考えられる. 第一は喫煙であるが, 他の環境要因解析のため, 本邦と米国・中国における地理病理学的研究を行い, それらを比較検討するものが目的である. 肺癌の増加は日本以外の両国においても著しく, 特に女性の非喫煙者肺癌増加が本邦さらに米国においても顕著である. 昭和60年9月, 米国国立癌研究所より上記問題の比較研究の提案があり, 昭和61年度予備調査を行った. 中国については, 昆明医学院にて肺癌症例の調査を行い, 女性肺癌発生率が男性よりも高い地区であることが半明したので, 今後その地区において発生要因を検討する. 方法:米国国立癌研究所のPiantadosiらは米国の肺癌死亡率をSEA(State Economic Area;1つないし複数のcountryから成る)ごとに白人男性の肺癌SMRについてMap studyを行った. Piantadosiらの論文と同様のモデル式での研究を行うことを計画し, 昨年度, 市町村毎の肺癌死亡率(昭和44ー53年)を, 市町村毎の各種行政統計ゲータ(昭和49ー51年)からできるだけ寄与率が高くなるように説明変数を選んだ. 更に, 今年は, "Special difference"という隣接市町村との依存性・関連性の変数を導入して寄与率の向上を計った. 結果:3341市町村のうち, 既知の肺癌関連変数および経口暴露領域の変数が総て揃っている市町村は, 598しかなかった. しかし, 肺癌死亡率(SMR)の分布は, 全市町村でのものに近似していた. (1)Special difference: 各市町村に隣接する市町村での平均肺癌SMR(男女計)と, SMRとの相関係数は0.36(P<.001)であった. (2)Special difference変数を導入した予測式: SMR=5.847×「都市近郊」(2.35)-0.138×「大気汚染地域」(-0.05)+6.920×「石炭鉱山町」(1.54)+0.078×「総熱量」(2.67)-0.339×「総炭水化物量」(-2.54)-0.824×「総脂肪量」(-2.54)-0.00003×「食料費」(-0.15)+0.633×Special diff.(12.15)+23.694(1.58) 重相関係数(R)=0.607 F=29.95(D.F.=8.411) 注:( )内はt値 今後の課題 (1)米国での寄与率は90%で, 上記の36%という成績のさらに改善が望まれる. (2)総脂肪量の係数がマイナス, 何故か. (3)市町村ごとにではなく, 医療圏ごとにデータを再分類し予測式をつくる. 中国における比較研究は昭和62年度計画が出来上がったので, 次年度にその結果が期待される.
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