研究分担者 |
JUAN Seiyu T JICAオキナワ診療所, 元所長
AUGUSTO Hasi WHO疾病分類センター, 所長
JOSE Maria P サンパウロ大学, 公衆衛生学部, 教授
SABINA LD Go サンパウロ大学, 公衆衛生学部, 教授
ANTONIO P Mi サンパウロがん登録所, 所長
RUY Laurenti サンパウロ大学, 公衆衛生学部, 学部長
石井 裕正 慶応大学, 医学部内科, 助教授 (20051500)
津金 昌一郎 国立がんセンター研究所, 疫学部, 研究員 (40179982)
三輪 正直 国立がんセンター研究所, 副所長 (20012750)
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研究概要 |
本研究は日本からの最大の移民数をもちながら今までに余り調査されていないブラジルサンパウロ州に移住する日系人のがんについて, その実態を明かにし, 日本民族の持つ, がん発症要因の特性について考察を行い, わが国のがん予防対策のための資料を得ることを目的としている. また, 日本人において特徴的でありがん発症要因としても極めて重要な意義をもつB型肝炎ウィルスおよびHTLVー1ウィルス感染について南米日系人(ブラジル, ボリビア)を対象に実態調査を行う. 1.サンパウロ在住日系人のがん実態調査 A.死亡:1979年より81年迄の3年間に死亡した日系人の死亡票, 男性2107名(内, 日本生まれの1世1313)女性1561名(同, 1033)分を収集し, 死因別に日本およびサンパウロ市とのがんによる死亡率の比較を一世についてSMRを用いて行った. 日本との比較において, 全部位(男), 食道(男), 直腸(男), 肝臓, 胆のう(男), 肺(女)が有意な低値を示す一方, 前立腺が高値であった. また, サンパウロとの比較では, 全部位, 食道(男), 乳房, 前立腺が有意な低値を, 胃(男), 膵臓が高値を示す結果を得た. B.罹患:1969年より10年間についてサンパウロがん登録に届出られた罹患票より, 日系人と思われる男性1684名, 女性1408名, ポルトガル系の名前を持つ男性1800名, 女性2130名を収集し, 現在部位別の比率について検討している. 2.HBV, HTLVーIの感染状況調査 ボリビアのサンタクルスおよびブラジルのサンパウロに居住する, 日系人および現地住民約2000名より血清を採取し, 両ウィルスのマーカーについて現在検索中である. 今後の研究としては, 死亡で認められたがん部位による特性が, がん登録データにおいても認められるという点と日本生まれの者と, ブラジル生まれの者とで, かかりやすいがんの部位に相違があるかという点を明らかにする一方, HBおよびHTLVーIウィルスの感染状況について, 実態を明らかにすると共に, 移住場所, 移住年, 出身県, 血縁, 婚姻関係によってその陽性率等がいかに修飾されるのかを検討する.
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