研究概要 |
1987年の海外学術研究がん特別調査総括班はこれまでの研究成果について反省するとともに今後のあり方について検討した. 総括班会議は昭和62年7月3日, 11月27日, 昭和63年3月26日の3回, 幹事会は東京で1回, 名古屋で2回打ち合わせを行なった. 班長会議は8月18日, 東京で開催した. 討議内容と研究活動は以下のとおりである. 1.班長会議:昭和62年8月18日, 15班の班長が会合し東京で開催し, 本研究班のあり方, 過去の実積について説明し, さらにそれぞれの主題, 研究方法について報告と意見の交換を行った. 共通する問題については互いに情報を交換し, 協力していくこととなった. 2.計画研究の決定:1987年度の計画研究課題は中国, 香港, タイ, 韓国における共同研究とエイズ関連ウィルスのアジア・アフリカにおける疫学調査及びバイオサイエンスに関する研究交流である. バイオサイエンスについては米国及び欧州の2つの班に別れて実施された. いずれも研究は順調に進んでおり, 前年と同様多くの成果があげられた. 1988年の採択予定課題は16課で, 新しい研究課題は4題である. 16題中, 計画研究は7題であり, うち2題はバイオサイエンスの進展に基づくがん研究先進国との研究交流である. 3.インドネシアとの共同研究:1987年に乳癌の共同研究の可能性を大野良之(名古屋市立大学公衆衛生)及び坂元吾偉(癌研究所病理)によりパイロット研究がなされ, その報告書が提出された. これを検討し, 明年度から新しく研究班を発足させることとしたが, すでに研究費の公募が終了していたので, 総括班の予算の中で派遣費を出すこととし, 研究計画をつくった. 1989年度には改めて研究費を申請する予定である. 4.第3回がん特別調査シンポジウムの開催:1988年3月26日, 東京NSビルにおいて肺癌と肝臓癌についてのシンポジウムを開催した. 肺癌は香港, 中国の2地区の計画及び中間研究発表と, 肝癌は韓国, イタリア(トリエステ)の2地区の2地区からの成果が発表され, いろいろ討議があった. 新しい仮説も示された. 最後にサンパウロの日系人のがんパタンが報告され, 若干の意見があった. 参加者59名であった. このシンポジウムの内容は抄録として当日配布した. 5.国際シンポジウム抄録集の発刊:昭和61年度に開催された国際シンポジウムの抄録集を英文で発行した. 67ページの小冊子であり, 関係者に郵送した. 6.ワークショップの開催:昭和63年3月25日, 疫学研究者を集めて現在の共同研究の問題点と今後の方向について討議を実施した. 出席者は15名であった. この結果, アンケートを各研究班に配布して意見を求め, 今後の研究の参考とすることとした. 7.文部省との情報交換:3回にわたる総括班会議で文部省から海外学術調査についての方針, 情報の伝達がなされ, 本研究の問題点について情報を交換した. 8.文部省海外学術調査総括班との情報交換:岩槻と青木は母体である海外学術調査総括班の班員を兼務しており, 両者の情報交換を行った. 青木は海外学術調査ニュースレターに海外学術調査と健康管理についての報告を寄稿した. 9.収集資料の保存管理:各班で収集されたり発表した文献について表題, 図, 使用言語, 内容のキーワードについてのデータ・ベースを引き続き作成した. また昭和59年度から62年度までのがん特別調査全班の班員及び関係者の名簿を作成した.
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