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クチジロジカ・中国産アカシカによるシカ属(Cervus)の進化系統分類学的研究(調査研究総括)

研究課題

研究課題/領域番号 62043002
研究種目

海外学術研究

配分区分補助金
応募区分調査総括
研究機関北海道大学

研究代表者

大泰司 紀之  北海道大学, 歯学部, 助教授 (50001532)

研究分担者 高 耀亭  中国科学院動物研究所, 哺乳類部門, 助教授
梶 光一  北海道大学, 農学部, 日本学術振興会特別研 (70436674)
三浦 慎悟  兵庫医科大学, 医学部, 助手 (70068584)
GAO Yao-Ting  Institute of Zoology, Academica Sinica
研究期間 (年度) 1987
研究課題ステータス 完了 (1987年度)
配分額 *注記
1,700千円 (直接経費: 1,700千円)
1987年度: 1,700千円 (直接経費: 1,700千円)
キーワードクチジロジカ / シカ属 / 青海・チベット高原 / 形態 / 分布 / 群れ構成 / 食性 / 行動
研究概要

クチジロジカの形態・分布・行動・食性に関する研究, 青海・チベット高原における有蹄類相に関する研究, およびチベット遊牧民のヤク・ヒツジ牧業における環境利用に関する研究を行った. それぞれの成果は「研究発表」の項, および別添成果報告に示すように8篇の論文としてまとめた. その概要を研究発表の項の順(=成果報告の目次の順)に述べる.
1.クチジロジカの形態:本種の形態に関する報告は, これまで2〜3の標本に基づく断片的なものしかなかったが, 今回頭骨36例・角46例・飼育個体59例を用いて調べた. 6歳以上のオス成獣の平均体重は205kgであり, 体測値や頭骨の大きさおよびそれらの加齢変化は中型のアカシカと同程度である. 本種の特徴として, 子ジカは出生直後1カ月半のみ白斑を持つこと, 頭骨の幅が広く眼下腺窩が大きいこと, 大臼歯のパラスタイル・メソスタイル・メタスタイルが発達していること, 角は最大で7尖131cmを示すが角枝はほぼ並行してならぶことなどが挙げられる. これらのことは, 本種がニホンジカよりも未分化でルサ亜属のシカに近いこと, および高寒高原に特殊化した形態を持つことを示している.
2.クチジロジカの分布および個体群動態:青海省・四川省・チベット自治区にまたがる調査域での結果に従来の断片的な情報を加えて, 主として標高4000〜5000mに生息する本種の暫定的な分布図を作成した. 発見した9群250頭余りの群れ構成・養鹿場での調査・現地での聞き取りによる, 10月発情・6月出産・1産1子・2〜3歳初産・メスの繁殖年齢12〜14歳まで・高質個体群が多いことなどが判った.
3.札陵湖周辺個体群の現状と保護について:札陵湖中の島および同湖北東岸一帯35km^2を生息地とする1群25頭に関する生態的調査を行った. 同地域にはこの群れを含む100頭足らずのクチジロジカが生息しているが, 他から隔離され, 家畜と競合関係にあり, 高い人間の捕獲圧にさらされている. 家畜が急激に増加していること, および夏期の中の島以外に逃げ場のないことから, 特にこの地域の個体群については保護策を急ぐ必要がある.
4.クチジロジカの食性:3地域からの糞および胃内容1例を分析した結果, 主成分はイネ料(一部カヤツリグサ科)であり, 稈・鞘が過半を占めていたことから, 本種がgrazerであることが示唆された.
5.養鹿場におけるクチジロジカの行動:59頭が放牧されている治多養鹿場および11頭が8800m^2の棚内で放牧されている石渠養鹿場において社会行動学的調査を行い, 音声についてサウンドスペクトルグラムによる分析を行った. その結果発情期のオスのディスプレーがニホンジカ・アカシカと比較して単純であること, メスもwallowingをすることなど, 本種の社会進化が未発達なレベルにとどまっていることが示された.
6.青海・チベット高原東部における有蹄類個体群の現状:1985年の予備(的)調査と1986年の調査で得られた同地域の各種有蹄類;クチジロジカ・アカシカ・チベットガゼル・フルーシープ・チベットノロバなどの分布・環境利用・群れ構成について特析を行った.
7.中国産シカ類に関するレビュー:クチジロジカ・アカシカの進化系統分類学的位置づけを行う一環として, 20種の中国産シカ亜料について環境利用を調べた. 近年の中国の文献および研究者の情報に基づいて検討を行った結果, 中国全域にわたってすべてのシカ類の分布状況をほぼ明らかにすることができた.
8.チベット族のヤク・ヒツジ牧業:青海・チベット高原のクチジロジカ・アカシカを含む有蹄類本来の生息地の80%は, チベット遊牧民によるヤク・ヒツジの牧地として利用されている. 野生動物の本来の生息状況を復元するためにも, これまで全く知られていなかった当地域のヤク・ヒツジ牧業の現状について, 同地域における見聞と現地で入手した文献に基づいてまとめた.

報告書

(1件)
  • 1987 研究成果報告書概要
  • 研究成果

    (9件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (9件)

  • [文献書誌] 大泰司 紀之: 畜産の研究. 42. (1988)

    • 説明
      「研究成果報告書概要(和文)」より
    • 関連する報告書
      1987 研究成果報告書概要
  • [文献書誌] OHTAISHI, N. et al.: "Preliminary Morphological Study of the White-lipped Deer (Cervus albirostris)."

    • 説明
      「研究成果報告書概要(欧文)」より
    • 関連する報告書
      1987 研究成果報告書概要
  • [文献書誌] KAJI, K et al.: "Distribution and Status of White-lipped Deer (Cervus albirostris) in the Qinghai-Xizang (Tibet) Plateau, China."

    • 説明
      「研究成果報告書概要(欧文)」より
    • 関連する報告書
      1987 研究成果報告書概要
  • [文献書誌] MIURA, S. et al.: "A Herd of Threatend Deer, White-lipped Deer Cervus albitostris, around Gyaring Lake, Qinghai Province, China."

    • 説明
      「研究成果報告書概要(欧文)」より
    • 関連する報告書
      1987 研究成果報告書概要
  • [文献書誌] Takatsuki, S. et al.: "A Note on Food Habits of White-lipped Deer on Eastern Qinghai-Tibet Plateau."

    • 説明
      「研究成果報告書概要(欧文)」より
    • 関連する報告書
      1987 研究成果報告書概要
  • [文献書誌] MIURA, S. et al.: "A Preliminary Study of Behaviour and Acoustic Repertoire of Captive White-lipped Deer, Cervus albirostris, in China."

    • 説明
      「研究成果報告書概要(欧文)」より
    • 関連する報告書
      1987 研究成果報告書概要
  • [文献書誌] KAJI, K. et al.: "Status of the Ungulate populations in the Eastern Qinghai-Xizang (Tibet) Plateau."

    • 説明
      「研究成果報告書概要(欧文)」より
    • 関連する報告書
      1987 研究成果報告書概要
  • [文献書誌] OHTAISHI, N. ; Gao, y.: "Memorandum on Cervinae in China."

    • 説明
      「研究成果報告書概要(欧文)」より
    • 関連する報告書
      1987 研究成果報告書概要
  • [文献書誌] OHTAISHI, N.: "Yak and Sheep Husbandry of Tibetan Nomad." Chikusan no Kenkyu (Animal Husbandry).

    • 説明
      「研究成果報告書概要(欧文)」より
    • 関連する報告書
      1987 研究成果報告書概要

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公開日: 1987-04-01   更新日: 2017-04-05  

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