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熱帶の土壌肥沃度と有機廃棄物利用

研究課題

研究課題/領域番号 62043020
研究種目

海外学術研究

配分区分補助金
応募区分調査総括
研究機関東京大学

研究代表者

和田 秀徳  東京大学, 農学部, 教授 (50011870)

研究分担者 牛久保 明邦  東京農業大学, 農学部, 講師 (60078219)
深見 元弘  宇都宮大学, 農学部, 助教授 (50114624)
山崎 耕宇  東京大学, 農学部, 教授 (30011878)
西山 喜一  東京農業大学, 農学部, 教授 (00078130)
吉田 冨男  筑波大学, 応用生物化学系, 教授 (30109912)
NISHIYAMA Kiichi  FACULTY OF AGRICULTURE,TOKYO UNIVERSITY OF AGRICULTURE,PROF.
研究期間 (年度) 1986 – 1987
研究課題ステータス 完了 (1987年度)
配分額 *注記
1,500千円 (直接経費: 1,500千円)
1987年度: 1,500千円 (直接経費: 1,500千円)
キーワード有機廃棄物 / 土壌肥沃土 / 酸性硫酸塩土壌 / 水田 / 還元状態 / 根傷み
研究概要

今年度は, 昨年度に実施した調査結果を補充し, 得られた結果を報告書の形に取り纏めることが目的であった. この目的を達成するために, 昨年採取した有機廃棄物の分析を日本において実施すると共に, タイ国の資料の収集に努めた. このようにして得られた結果を取り纏め, 報告書を作成することができた.
本研究の成果は以下のように要約できる.
1. タイ国では都市廃棄物や作物残査の形で有機廃棄物が多量に排出されているにも拘らず, 農業での有効利用がきわめて限られている. このことは, 経済的な理由から化学肥料の利用が制限され, 土壌の地力が低いタイ国では重大な問題であることが近年強く指摘されるようになった. タイ国農民が有機廃棄物の利用に積極的でない理由として次の点が指摘された. (1)圃場に残されている作物の収穫残査は次の農作業の邪魔になったり, 病害虫の発生源になるので消却する. (2)圃場で収穫残査を消却すると雑草が防除される. (3)収穫残査を鍬込むと作物の生育を阻害することがある.
2. タイ国中央平原と北部山地を調査地点として選び, 既存の資料の基づいて, それぞれの地域に分布している土壌の種類, 気象条件, 農業の形態, 農業上の問題点などを整理した. これら二地域を選んだのは, (1)これらの地域では有機廃棄物を積極的に利用している農民が小数ながら存在しており, その理由が解析できる可能性がある. (2)研究成果を付近の農民に普及できる可能性が高い. と考えたからである. これら二地域を概査し, 4地点を選んで実験を実施した. このような研究方法により, 実験結果を適用できる範囲が明確になると期待された.
3. タイ国で排出される有機廃棄物の最も完備した統計資料を集め, 解析することができた. この資料中には, それそれぞれの有機廃棄物を実際利用する際に問題になる項目についても漏れなく含めることができた. さらに, 代表的な有機廃棄物については, 化学的性質, 物理的性質, 微生物的性質, 無期養分供給能力, 土壌改良能力などを詳細に調べ, 統計資料に付記することができた. 従って, この資料は, 有機廃棄物に関する世界で最も完備したものとなった.
4. 有機廃棄物を農業に利用することを目指して, 多数の圃場試験, ポット実験, 室内実験を, 相互に連関をもたせながら実施した. この研究では, それぞれの地点で利用可能な有機廃棄物を選び, 窒素と燐酸の供給能力に注目し, この能力が(1)有機廃棄物の種類と施用量, (2)土壌の種類, (3)土壌管理方法 によってどの様に変化するかを明らかにすることに重点をおいた. ここではその結果の一例を挙げるにとどめる. カスターミールは水稲に施用すると, 幼植物の段階で根を痛めた. この傷害は酸性硫酸塩土壌に多量のカスターミールを施用すると特に顕著に現れた. 一方, 畑作物の場合には, いずれの土壌においても, カスターミールは窒素肥料として最も優れていた.
5. 有機廃棄物施用が作物の生育を阻害する理由の一部を明らかにした. 野外調査において, 植物根がしばしば不健全であり, 新鮮植物遺体を鋤込んだ直後の畑で, 植物遺体近くの土壌が局部的に強く還元されていることなどを見いだした. これらの観察結果は易分解性有機物に富む有機廃棄物を土壌に加えると, 土壌の局部が一時的に還元状態に陥り, 植物根の生育が阻害されることを示していると考えられた. この考えの正否を確かめることを目的として薗場試験, ポット実験, 室内実験を実施した. これらの研究結果は, 上に述べた考えが正しいことを支持した.

報告書

(1件)
  • 1987 研究成果報告書概要

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公開日: 1987-04-01   更新日: 2016-04-21  

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