研究概要 |
1981年に日本人とナイジェリア人の歯科疾患の罹患状態を比較するためにイフエ大学と共同研究し, その5年後の追跡調査をして次の成果をえた. 1.齲蝕罹患者率は都市部で男は26.9%から34.7%へ, 女は31.4%から40.2%へ増え, 農村部では男は31.5%から11.7%へ, 女は34.9%から14.7%へ減った. 男〈女. 2.一人平均のDMF歯数と歯面数は6歳ー8歳, 9歳ー11歳では増え, 12歳ー14歳, 15歳ー17歳では減っていた. 日本の12歳は5.91歯であるのに, ナイジェリアの12ー14歳は0.3歯であった. 3.一人平均df歯数及びdf歯面数は農村部では著しく減少していた. 4.一人平均DMF歯数は都市部では第一大臼歯で増加, その他の歯種では減少し, 農村部では第二大臼歯が9歳から11歳で少し多いが, 第一大臼歯を含めて歯種では減少していた. 追跡調査結果 1.一人平均df歯数は減少していた. 一人平均DMF歯数は都市部で増え, 教村部で減少していた. 2.齲蝕の年次推移:1981年と1986年ともに齲蝕のあった者と1981年に齲蝕がなく, 1986年に齲蝕のあった者は都市部の方が多かった. 3.1981年に齲蝕を持っていて1986年に齲蝕がなかった者, また, 1981年に齲蝕がなく, 1986年にも齲蝕がなかった者は農村部に多かった. 4.永久歯の齲蝕:都市部の第一大臼歯では, 健全からC1から充填になった者, 健全から喪失になった者, C1から充填になった者が, 各々7歯,1歯,1歯,1歯であり, C1からC1と変わらなかった者が1歯,C1から健全になった者が1歯であった. 大に大臼歯では健全からC1になった者が3歯であった. 農村部の第一大臼歯では, 健全からC1になった者, C3からC4になった者が各々1歯,C1からC1, C2からC2と変わらなかった者が各々1歯, C1から健全になった者, C2から健全になった者が各々4歯, 1歯であった. 第二大臼歯では健全からC1になった者が5歯,C1から健全になった者が1歯であった. 第三大臼歯では健全からC1担った者が1歯だけであった. ナイジェリアの子供達の齲蝕は5年前と比べて都市部では, 乳歯・永久歯で少し増え, 農村部では減少していた. 永久歯の初期齲蝕は咬耗によって健全に逆戻りする. この傾向は農村部で顕著にみられた. 歯周病罹患:3ー20歳までの673名で歯周疾患の疫学的調査をCPITNを用いて行い, 次のような結果が得られた. 84.2%に罹患が認められ, 歯肉炎が主で, 歯石沈着が著明であるのに, 歯周組織の破壊は極めて軽度であった. これは食生活とも関係が深く, この地域での口腔衛生とprophylaxisの必要性がある.
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