研究分担者 |
茨木 雅子 静岡大学, 理学部, 助手 (30109128)
小泉 格 大阪大学, 教養部, 助教授 (20029721)
藤吉 瞭 静岡大学, 教育学部, 助教授 (00022202)
高山 俊昭 金沢大学, 教養部, 教授 (40004361)
首藤 次男 九州大学, 名誉教授
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研究概要 |
本研究の目的は南米太平洋側のコロンビア, エクアドル, ペルー, チリ, 4ヵ国の新生代主要海成層を浮遊性微化石を使う新しい手法によって, それらの精度の高い年代を明らかにし, 環太平洋地域新生界の対比と編年を完成させようとするもので, 特に, 太平洋をへだてた反対側に位置する日本と南米の地史を比較検討しようとするものである. そのため, 今年度は昨年度(1986)の本調査で得られた試料について, 浮遊性有孔虫, ナンノプランクトン, 珪藻の各分類群による解析をおこない, 主要海成層の地質年代を決定し, 対比を試みた. その結果得られた主な成果について述べる. 1. 南米で古くからよく知られたいくつかの貝化石層であるコロンビアのTubara層は鮮新世(N.21), エクアドルのPta.Gordaの含貝化石層は鮮新世(N.21),Canoa層は更新世(N.22),チリのCuebrada Blanca層は鮮新世(N.21)であることが明らかとなった. 2. これまで始新世とされたコロンビアのToluviejo層は前期漸新世(P.17ー20),エクアドルのSan Mateo層はおそらく初期中新世(N.4ー5),ペルーのChira層とParacas層は後期始新世(P.14ー17とP.13)となることが明らかとなった. 3. 中期中新世初頭(N.8層準)の海成層はエクアドルのエスメラルダス川沿い, San VicenteのDos Bocas層, JaramijoやPta.Canoa Tosagua層, チリのCaleta Herradura de Mejillones海岸の地層, Tongoy海岸のEL Rinconの地層等として広く分布し, 南米でも暖流系の生物を豊富に含んでいる. これは日本や環太平洋地域に共通する. 4. 典型的な珪藻土層ダイアトマイトはチリでは鮮新世(N19ー21)にかぎられるが, ペルーでは中期中新世以降に広く厚く発達していることが明らかとなった. 日本では中期中新世に発達する. 以上の成果は, 研究の次の段階である太平洋地域新第三紀地質学的事件の時間空間的分布の解明にとって重要な基礎をあたえるものである.
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