研究分担者 |
LUE K Y. 台湾師範大学, 生物系, 教授
高井 成幸 佐賀医科大学, 教授 (20124810)
川勝 正治 藤好短期大学, 教授 (50047932)
堀 寛 広島大学, 原爆放射能医学研究所, 助教授 (60116663)
武藤 〓 名古屋大学, 理学部, 助教授 (80034635)
KAWAKATSU Masaharu Fuji Woman's College, Laboratory of Biology
TAKAI Masayuki Saga Medical College, Laboratory of biology
LUE Kuang-Yang Taiwan Normal University, Department of Biology
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研究概要 |
淡水産ナミウズムシの5SrRNAを他の多細胞動物と比較すると, 従来の系統分類学の常識では予測できない程,その配列が他の動物のものからかけはなれている. この結果は旧来の分類学が問違っているのか,ナミウズムシの5SrRNAが何らかの原因でその進化速度が上昇したのかどちらかが考えられる. 後者の一原因はナミウズムシの生育環境からみて,とくに地理的隔離が強い可能性があり,この影響で5SrRNAの塩基置換速度が上昇した場合が考えられる. この点を検討するために日本産ナミウズムシ4地点と,台湾産ナミウズムシ7地点の5SrRNAを比較した. 台湾産ナミウズムシ(台湾北部,中部,南部,山岳部,東部,蘭〓島)の野SrRNAは北,中,山岳各部は日本産の4地点(96%相似)とほとんど差がなく,地理的にへだたりが大きくなる南部,東部,蘭〓島になるにつれて少しづつ差が大きくなる. この点で地理的距離と5SrRNAの相違度には相関がみられたが, その差の程度は塩基置換速度が極端に上昇したためにおこる差ほど大きくはなかった. この結果, 地理的隔離の度合の高い淡水産ナミウズムシの5SrRNAで, 極端な塩基置換の上昇はないという結論をえた. したがって, 当初の予測である"従来の系統分類学の常識"は間違いで"5SrRNAの結論が正しい"とする可能性はまだ残されている.
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