研究分担者 |
宮崎 猛 京都大学, 農学部, 講師 (50115945)
熊谷 宏 京都大学, 農学部, 助教授 (20003139)
渡辺 弘行 京都大学, 農学部, 助教授 (90026633)
西村 博行 京都大学, 農学部, 教授 (60003068)
森田 学 京都大学, 農学部, 教授 (10026388)
WATANABE Hiroyuki Associate Professor,Faculty of Agriculture,Kyoto Univ.
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研究概要 |
世界の発展途上国が直面している食糧不足と森林の環境破壊に対処するため, 本研究は土地利用転換メカニズムを明らかにすることを目的として実施した. 具体的には, インドネシアにおいての自然環境条件の異なるインドネシア国の東部ジャワ,ブリタール県内レジョウィナングン村とカラングレジョ村,及び南カリマンタン,バンジェルマシン県内スンガイタブック村とガンブート村を選定し,この中で,土地利用転換メカニズムを社会経済的・生態的・農林業技術側面を含めて総合的に明らかにすることを目的として実施した. 1 東部ジャワの成果は次のとおりである. (1)地域開発施策:インドネシア全体から見た地域開発施策の体系と農林業施策構造及び同施策の分析と調査対象村の開発施策の分析から,農林業施策が村レベルまで浸透し,1970年代に一定効果を上げていることを明らかにした. (2)地域環境条件:対象村周辺の環境条件を地形・地質・水文・農業・林業生態等の立場から総合的に分析し, 環境条件は東部ジャワの一つの典型的性格を持つことを明らかにした. (3)農村社会構造:農村社会組織,人間関係分析から,地域開発等のインパクトと土地利用転換に係る農村社会関係が明らかとなった. (4)農村経済:+ュCP○(/)1+ャ商工業を含めた農村経済の分析から,農家,非農家の経済構造変化が相互に関連していること及び潅漑開発効果が評価をされた. +ュCP○(/)2+ャ高収量品種の導入,潅漑開発等が農家の農業経営・消費構造に与える影響を明らかにした. +ュCP○(/)3+ャ農家の消費構造の変化が商業, 更に一般造業の構造にも影響を及ぼすことが明かとなった. (5)農業生活:+ュCP○(/)1+ャ高収量品種の導入, 灌概開発に伴う直接的な影響が稲,トウモロコシ,サツマイモ,ラッカセイ,サトウキビ等の作物生産構造の変化に及んだことを明らかにした. +ュCP○(/)2+ャブカランガン(屋敷林)が農家経済,農村生活,地域農業の本質的な基礎なっていることを明らかにした. +ュCP○(/)3+ャ耕起,農産物の運搬,家畜堆肥,財産価値等の点で畜産は農業生産・農家経営と切り離させない関係にあり,土地利用転換にも大きな影響を与えていることが分った. (6)土地利用転換:潅漑開発の具体的展開に伴い村落内の土地利用パターンが非常に変わった. (7)地域農業と土地利用転換:農村構造は社会,経済,物象(土地利用)の各構造が農家だけでなく非農家を含めて相互に関係づけられており,この連鎖によって農村が一体的な挙動を示すことが明らかとなった. そのため,農村開発のインパクト(情報,工事,潅漑施設)はまず農業生産性を高め,それが農業外の消費構造に及び,更に商工業活動が,農村の社会・経済構造を活性化していっていることを明かにした. 土地利用転換化はこうしたインパクトの伝達過程で生じていた. 特にこの村ではプカランガンが水田化,オレンジ畑へと変化している過程が明らかにされた. 2 南カリマンタンの成果は次のとおりである. 後発地域である南カリマンタンを比較することによってインドネシアにおける土地利用転換メカニズムが理解できるとの考え方から,1986年夏期,南カリマンタンで農村調査を実施した. (1)バンジャリスト(土着民)は地域の平坦地に分布している. 移住者は中〜高地の山間地に分布することになる. (2)移住者はこの場合,移動型焼畑農法を採用する. (3)移動型焼畑耕作によって土地はアランアランの野草地になる. (4)南カリマンタンには現在アランアラン草地が広く分布しており,この土地の利用方法が問題になっている. (5)一方, 平担地では湿地が多く,水田は乾季の稲である. (6)しかし,イリケーション施工によって水田は乾季(HYV)と雨季(LV)の年2作の稲作が可能になっている. (7)この結果イリゲーション地区の農家経済は種々の変化を来たしつつある.
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