研究概要 |
肝内結石症の全胆石症に対する頻度は沈陽等の地方都市で高度であり, 北京等の都市化の進んだ地域では小さかった. 性比は男女, 大体男女同数であった. 年齢別頻度には顕著な差があり, 沈陽などの地方都市では20才代, 北京などの都市部は40才代にピークが存在した. 病態には極めて大きな差があり, 地方都市では肝内肝外胆管に結石が存在する症例が90%以上を占めていた. これに反し, 都市部では75%に留った. 肝内結石症において肝外胆管に存在する結石は多くの場合, 肝内胆管より落下したものと考えられ, 従って地方都市においては進行した肝内結石症が多いものと解される. 左右肝葉別結石分布では地方都市においては両葉に結石が存在するものが多いのに反し, 都市部では左のみに限局するものがかなり存在し, 我国における場合と近かった. 肝内胆管狭窄は殆ど認められなかった. このように地方都市部では肝内結石症の頻度が高く, 且つ進行した例が多い事実が示されたが, これは肝内結石症発生における環境因子の重要性を示唆するものと解される.
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