研究分担者 |
ピーター ショウ アッシ バーバード大学, アーノルドァーボレータム, 教授
ヨセフ ジャワ ケンダワ サラワク林野庁, 研究統括部, 研究員
リー ファー セン サラワク林野庁, 研究統括部, 部長
片桐 成夫 島根大学, 農学部, 助教授 (00032649)
JOSEPH Jawa ak Kendaw Sarawak Forest Department, Executive Forester
ASHTON Peter Shaw Harvard University, Professor & Director of the Arnord Arboratum and Grey Herbar
LEE Hua Seng Sarawak Forest Department, Assistant Director of Forests, Directot of Research
|
研究概要 |
本研究は森林発達と立地条件の変化にともなう森林の階層構造の変化を手がかりに, 熱帯アジアの自然の象徴的存在である混合フタバガキ林の構造と機能の動態を明らかにすると共に, 減少の一途をたどるフタバガキ林の保全と管理のための生態学的基礎を解明しようとするものである. このため, 昭和61年12月から昭和62年3月にかけてフタバガキ林が原生状態で広く残存し, かつ利用可能な研究資料が比較的多いマレーシア国・サラワク州のバコウ, ランビル, メルシン地区のフタバガキ林保護区で, 大径木の自然枯死・倒木に始まる森林の破壊・再生・発達に伴う森林の組成, 構造の時間的推移及び土壌に関する比較調査を利施した. 調査を行った3地区のフタバガキ林保護区内に幅20m長さ200mのベルト状トランセクト調査区を5〜8個設定した. 調査区内の成熟サイズ(胸高直径30cm以上)に達した全ての生立木及び枯死倒木の個体サイズ, 種名, 配置図に関する毎木調査に加えて, 大径の枯死・倒木の起因する森林内の破壊地(ギャップ)の個数と大きさを記録し, ギャプ内に再生した後継樹についても成熟木と同じ項目について毎木調査を実施した. また, 資料を補足するため調査区外ではあるものの, トランセクトに沿って出現した典型的なギャプで後継樹の再生状態を調べた. 土壌調査は1トリンセクトあたり5〜10個のAo層採取用調査枠(1m×1m)及び1個の鉱物質土壌採取用のピットを設定することにより行った. 既に述べたように, 原生混合フタバガキ林では最上層を占める巨大高木の死亡・倒壊による森林の破壊とそれに引き続く活発な再生が間断なく生じており, このため森林は新しい破壊地(ギャップ)から成熟した段階に至る各種発全段階の林分が重なり合うモザイミ構造を成す. 枯死・倒木は3地区ともランダムに調査区内に発生し, その密度もほぼ一定で3地区間で大きな差は認められなかった(28〜32本/ha). しかし, 枯死・倒木の存在状態(倒れずに枯死・根返り・幹折れ等), 1個のギャップ当たり平均ギャプ面積, ギャプの総面積の全調査面積に対する割合, 森林の回転時間には3地区間で2倍以上の大きな差が認められた. 則ち, バコウ, ランビルメルシン地区の順に森林が大型化するに従って根返り木の数, 平均ギャプ面積, ギャプの面積比率, 回転速度は共に増加し, これらの変化は森林の維持機構の推定に際して今までその効果が決して問題にされることのなかった環境条件(特に土壌の肥沃度)の重要性を示唆した. 対称型差分図を用いて調査林分(トランセクト)毎に森林の階層構造を解析し, 林分構成個体を樹高の大小に従って層別に区分した. 更に, 各層の識別番号をiで表し, 層毎の平均樹高Hi及び立木密度ρiを求めた. 現地調査を実施したバコ, ランビル, メルシンの3地区の混合フタバガキ林とも典型的3層構造を成した. 即ち1≦i≦3. 今回調査した成熟した林分では各層の平均樹高Hiはそれと対応する層毎の立木密度ρiの平方根に反比例し(Hi=K/
|