研究分担者 |
桧垣 宮都 東京農業大学, 農学部, 助教授 (50078143)
加藤 茂 東京農業大学, 総合研究所, 講師 (90147489)
福岡 誠行 頌栄短期大学, 教授 (90071430)
中須賀 常雄 琉球大学, 農学部, 助教授 (40045133)
長野 敏英 東京農業大学, 総合研究所, 助教授 (10012006)
井上 裕雄 香川大学, 農学部, 教授 (00035966)
倉石 晋 広島大学, 総合科学部, 教授 (30012363)
中村 武久 東京農業大学, 農学部, 教授 (60078136)
矢吹 万寿 大阪府立大学, 学長 (90081463)
INOUE Hiroo Kagawa University,Faculty of Agriculture
|
研究概要 |
本調査研究は昭和59年度から昭和61年度までの3年間にわたり, タイ国沿岸域のトラート, ラノン, タクアバ, チャンタブリ, バンガ, クラビ, ソンクラ, サツーン等の各地のマングローブ林地域においてそこに生育するマングローブ植物とその生態的特性. 光合成, 呼吸, 水分収支, 吸収塩類の動態などの生理特性を明らかにするための調査研究を行なった. また, マングローブの育林, 保全の基礎的知見を得るため各種の環境下における個体生長に関する試験研究. さらにマングローブの生態, 生理とその環境について広範な調査研究を行なった. その成果は『東南アジアのマングローブーその生態と生理ー』として取り纏められる. この報告書は各研究分担者の調査結果を集約し, これを編集して第1章から第5章に組立てたものである. 第1章には, 東南アジアのマングローブさその植生, 生態がまとめられている. 従来, 範囲が不明瞭であったマングローブ植物各種を生態的レベルで区分し, そのなかで主要マングローブといわれる種を明らかにし, その各種の形態的特性を明示した. またマングローブ林の環境とし, 林内の微気象, 地下環境, 水圏の3項に分けてまとめられた. 微気象は, マングローブ林内の階層による酸素放出量とそれに伴う温湿度変化で, これは陸性林と比較してかなり違ったパターンを示すものである. 地下環境としては, マングローブ域の土壌の物理化学性に触れ地下水位の変化と潮汐との関係について論じてある. 水圏の項では河川の流入による堆積物, またマングローブ林地域で盛んな魚介類の養殖と養殖池造成による水の質的変化とマングローブへの影響が具体的事例をもってまとめられている. 第3章はマングローブの生理とマングローブ林の成長で, 光合成, 蒸散, 呼吸, 塩類の吸収などの調査結果からいくつかの新知見が得られている. 成長については, 胎生種子からの初期生長, 林の年間成長量などが立地環境の違いと比較されている. 第4章は, マングローブ研究の諸問題と将来展望のタイトルで今迄の研究を総括し, さらに残される研究の課題とその重要性について論述されている.
|