研究課題/領域番号 |
62045008
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研究種目 |
国際学術研究
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 大学協力 |
研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
徳丸 克己 筑波大学, 化学系, 教授 (60011491)
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研究分担者 |
新井 達郎 筑波大学, 化学系, 講師 (50151139)
赤坂 健 筑波大学, 化学系, 助教授 (60089810)
桜木 宏親 筑波大学, 化学系, 助教授 (10011602)
安藤 亘 筑波大学, 化学系, 教授 (30008429)
菊池 修 筑波大学, 化学系, 教授 (30015771)
リオネル サレム パリ第11大学, 幅射物理化学研究室, 教授
ジェイ ベロニ パリ第11大学, 幅射物理化学研究室, 助教授
マリー デルクー パリ第11大学, 幅射物理化学研究室, 教授
ジャン フォール パリ第11大学, 幅射物理化学研究室, 教授
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研究期間 (年度) |
1987 – 1989
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研究課題ステータス |
完了 (1989年度)
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配分額 *注記 |
8,900千円 (直接経費: 8,900千円)
1989年度: 2,500千円 (直接経費: 2,500千円)
1988年度: 2,400千円 (直接経費: 2,400千円)
1987年度: 4,000千円 (直接経費: 4,000千円)
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キーワード | 光異性化 / 三重項状態 / オレフィン / ラジカルカチオン / 二重結合 / レーザーホトリシス / 光酸素化 / 量子収量 |
研究概要 |
光化学は近年その基礎、応用ともに発展が著しく、21世紀は光の時代とさえ言われている。本研究代表者らは、光化学反応について在来の有機化学的手法と、物理化学的手法を融合した方法により、在来の一つの手法のみでは着手できなかった光化学の分野を開拓し、光化学反応の基礎の理解に進みつつある。他方、相手側のフォール教授の研究室は、物理化学を中心とする光化学、および放射線化学の世界有数な、活発な研究室である。本研究は、それら両者の協力により、双方の手法を相補的に活用しつつ、適切なモデル化合物を創出し、その光化学反応における励起状態や、ラジカルイオン種、ビラジカルなどのナノ秒、ピコ秒のような短い時間尺度におけるその動的挙動を明らかにし、光化学反応の本質を究明することを目的とし、次の研究を行った。 1.不飽和系の光異性化反応、とくに近年本研究者らが発見した片道異性化反応における励起状態の挙動の研究。 (1)筑波大学において創製した試料について、パリ第11大学においてピコ秒分光の測定を行い、その励起体の挙動を研究した。 光片道異性化を示すアントラセン置換オレフィンや、ピレン置換オレフィンの励起一重項状態の挙動が、溶媒の極性や粘性の効果を受けることを見出した。またビニルアントラセンでは、一重項状態において芳香環と二重結合を結ぶ単結合のまわりの回転異性化が高選択的に進行し、しかもその速度は溶媒の粘性の効果を受けることを明らかにした。 (2)アントラセン置換オレフィンの二重結合のまわりの光片道異性化は、三重項励起状態で断熱的にシス型三重項からトランス型三重項に異性化し進行するが、二分子膜中や低温剛体中及び室温におけるナノ秒レーザーホトリシスにより、シス型三重項からトランス型三重項への変換過程を直接観測し、その過程の活性化障壁を求め、シス型三重項にもエネルギー極小点が存在することを明らかにした。 2.放射線および光化学反応による活性化学種の生成。 (1)パリ第11大学の成果を筑波大学に持参し、活性種の挙動について共同で研究した。ピレンの光励起により生ずる励起二量体の挙動を、二分子膜中で研究した。 (2)筑波大学で創製した試料について、パリ第11大学において放射線照射により生成した活性種の挙動を研究した。本研究者らは、オレフィンの光異性化反応やオレフィンのラジカルカチオンの光異性化及び光酸素化反応の速度並びに様式が、二重結合上の置換基の効果を受けて変化することを見出してきた。本研究では、イオンラジカルのESRスペクトルを測定し、ラジカルカチオンのオレフィン炭素上のスピン密度を求め、置換基効果と光反応性との相関を明らかにした。 3.筑波大学において、日仏光化学セミナーを開催し、光化学反応において重要な活性化学種の動的挙動に関して高速分光法を用いて研究した結果について討論を行い、光化学反応を支配する要因について意見を交換した。
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