研究課題/領域番号 |
62045013
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研究種目 |
国際学術研究
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 大学協力 |
研究機関 | 東京外国語大学 |
研究代表者 |
輿水 優 東京外国語大学, 外国語学部, 教授 (60014437)
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研究分担者 |
小林 二男 東京外国語大学, 外国語学部, 助教授 (10107831)
依藤 醇 東京外国語大学, 外国語学部, 助教授 (80014520)
高橋 均 東京外国語大学, 外国語学部, 教授 (40015392)
有田 和夫 東京外国語大学, 外国語学部, 教授 (70011301)
金丸 邦三 東京外国語大学, 外国語学部, 教授 (70014438)
王 宏 上海外国語学院, 日本語学部, 教授
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研究期間 (年度) |
1987 – 1989
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研究課題ステータス |
完了 (1989年度)
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配分額 *注記 |
8,900千円 (直接経費: 8,900千円)
1989年度: 2,500千円 (直接経費: 2,500千円)
1988年度: 2,400千円 (直接経費: 2,400千円)
1987年度: 4,000千円 (直接経費: 4,000千円)
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キーワード | 中国のボディ・ランゲージ / 中国人の日常生活 / 中国の生活儀礼 |
研究概要 |
日本人は一般に中国や中国人に対し親近感をいだき、それほど大きく「異文化」を感じないが、その生活習慣や伝達行動を観察すると、意外に多くの隔たりが存在する。本研究はこの隔たりについて実地に調査し、その成果をわが国における中国語教育に反映させようと意図したものである。生活習慣に関しては、上海・北京などにおいて中国人の家庭を訪ね、衣食住の各面にわたり、現に使用されている数多くの家庭用品や日常生活の様々な具体的場面を記録することができた。その中で例えば、同じく「米をとぐ」にしても日中両国では全く方式が異なる、といった調理法や、調理器具について新旧の対比を含めて実地調査し、また室内で欧米と同様に土足であったものが、都市の家庭ではわが国と同様に靴を脱ぎスリッパ等を用いるものがある、といった日常生活の変化を見聞するなど、従来の経験や知識を超えた資料も得た。 生活に関連の深い商店やマーケットについても実地の調査を行った。日用品を中心に数多くの物品について資料を得ることができたが、とりわけ印象深かったことは商店の看板類であった。中国では従来あまり見ない「…屋」、例えば髪屋のような名称が増加し、しかもこれを日本語と考えている者が少なくない。しかしこの例をはじめ、商業面では広東・香港、さらには台湾の影響も大きいことがわかった。社会の急速な変化は中国においても例外ではなく、とくに文化大革命後は社会制度などが大きく変わり、例えば軍隊で階級制が復活し制服が定められたのをはじめ、他の様々な職種でも制服が採用され、これまでのいわゆる人民服一色からスーツや制服に変わっている。例えば税務職員にも制服制帽がある。外国人には区別し難いこれらの制服などについても資料を得た。 生活儀礼や年中行事に関しても幅広く取材した。例えば結婚披露宴には実際に参加し記録をした。しかし葬儀は適当な機会が得られず、やむなく聞き書きとなった。ただし近年、中国でも人びとの関心が高い墓地については豊富な資料を入手した。 伝達行動の調査・研究は主として身振り手振りや感情の身体的表現など、非言語的表現を対象とした。若い俳優など演技の素養ある者に演じてもらうほか、一般人についても多くの貴重な資料を得た。これらを通じ大きな個体差は発見されなかったが、日本人をはじめ他の諸国とは異なる例も少なからず存在することがわかった。また初歩的にではあるが、中国における手話についても関心を向け、これにも日本などと異なる例が少なくないことを知った。 三年間にわたる研究の成果は、すでに直接にはスライド・写真等を教室で活用しているほか、研究分担者それぞれの著になるテキスト等にも間接的に取り入れられている。今後これらの資料が辞典等の編さんにも役立てられようが、当面さらにその活用をはかるため、現在までに「中国のボディ・ランゲージ」「中国の生活習慣ーーーー食生活篇」などの資料集を研究室にて編集し、刊行することができた。この作業の過程で、すでに調査した事項についてもさらに検討の必要なものが見付かっただけでなく、生活儀礼の取材範囲の拡大、また伝達行動で好ましいとされる表現の把握など、さらに一歩進んだ研究も必要となった。
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