研究課題/領域番号 |
62045024
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研究種目 |
国際学術研究
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 大学協力 |
研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
門田 博知 (1989) 広島大学, 工学部, 教授 (10034323)
網干 寿夫 (1987-1988) 広島大, 工, 教授
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研究分担者 |
ろん 宗耀 大連理工大学, 助教授
唐 煥文 大連理工大学, 教授
金 同稷 大連理工大学, 校長
杉恵 頼寧 広島大学, 工学部, 教授 (70034410)
吉国 洋 広島大学, 工学部, 教授 (90034339)
ZONG-YAO Long Dalian Institute of Technology Associate Professor
HUAN-WEN Tang Dalian Institute of Technology Professor
TONG-JI Jin Dalian Institute of Technology President
魏 〓瑞 大連市, 都市計画局長
〓 宗趺 大連工学院, 助教授
唐 〓文 大連工学院, 助教授
洪 承礼 大連工学院, 教授
門田 博知 広島大学, 工学部, 教授 (10034323)
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研究期間 (年度) |
1987 – 1989
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研究課題ステータス |
完了 (1989年度)
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配分額 *注記 |
8,100千円 (直接経費: 8,100千円)
1989年度: 2,500千円 (直接経費: 2,500千円)
1988年度: 2,400千円 (直接経費: 2,400千円)
1987年度: 3,200千円 (直接経費: 3,200千円)
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キーワード | 都市交通システム / 交通需要予測 / 交通安全政策 / 渋滞対策 / 地質および土質 / 機関選択 |
研究概要 |
研究遂行上の問題点は、基礎資料が乏しい事、一時期は存在しても国外への持ち出しが困難な事であった。さらに、平成元年6月には天安門事件が発生し、研究が一時ストップした事は大きな障害になった。特に、基礎資料の交換が不可能になった点は大きい。社会経済、運輸交通、道路等の基礎資料を基に研究する都市や地域計画等の共同研究は、それぞれの国に適した手法論を研究し、資料を基にした手法論の適用性についてはそれぞれの側が主体に研究する方が望ましい。11月には日本国文部省の中国渡航自粛が解除されたので、12月末に大連理工大学を訪問したが、中国側の研究視点は共同研究開始時点とは異なり、地下鉄や新交通システムのような交通手段の導入は否定的であった。このような状況の中で、日本側と中国側それぞれの立場で研究を進め、3年間で6回の研究成果の討論会を持った。 大連市の交通実態を把握するために交通調査を中国側が主体的に行った。調査は人を中心とした都市内の交通と物を中心とした都市間の動きの2つである。大連理工大学はこれらの調査結果を基に大連市の交通需要の解析、予測等の研究を行い、道路網計画を提示した。また、同様な調査を中国の多くの都市で行うことは予算的に困難なので、経費のかからない路側交通量調査結果からOD交通量を推定する方法を大連市の詳細な調査デ-タを用いて検討した。今後、他都市での適用を検討する予定である。 大連理工大学が行った単純集計結果をみた所、自転車交通が多いこと、1人当たりのトリップはわが国に比べてかなり少なく、通勤・通学の往復のトリップの占める割合の多いことがわかった。企業単位でバスによる送り迎えをしている所も多く、残業も少ないので夕方のピ-ク率は非常に高く、道路混雑はわが国とほとんど同程度であった。このため、将来の交通需要推計モデルは中国の実情にあったものが必要である。また、中国の交通事故の多さも重要な問題であることが認識された。現在、個人の自動車保有は制限されているが、制限がなくなると、交通事故は深刻な社会問題になることが十分考えられる。このような状況の中で広島大学研究班は、中国の交通計画策定において問題となる点について主に研究した。具体的には、(1)「都市交通の整備に関する基本的方向」、(2)「日本における都市交通需要予測の発展」、(3)「交通安全政策の評価法」、(4)「都市圏における短期交通渋滞対策」、(5)「大連市の地質と土質」、(6)「交通機関選択モデルのための順位づけした選好意識デ-タの有効性」等について研究し、各方法論の適用性についてまとめた。 構造設計の方は埋め立て地の造成に関する日本と中国の技術を融合させ、より普遍的技術に高めるための研究、交通施設建設のための基礎構造物の建設技術についての研究を進め、大連市に最も適した交通施設の構造について研究した。さらに、地質学および土質工学の立場から大連市全域の地盤の性質を明らかにし、それを基に将来、交通その他の施設を構築しようとする際に発生するであろう問題点についても研究した。 この結果、大連市域の地質はカンブリア紀層に属し、粘盤岩ないし、泥盤岩が風化剥落し、土砂となっていることがわかった。しかし、堆積層は薄く、基盤岩が露出している所が多く見られ、構造物の支持力は十分であることがわかった。このため、大連市の交通施設、特に新交通システムや軌道系の交通施設を地下に通すことは建設費が大きすぎる。したがって、比較的浅く簡単な基礎でも十分に構造物を支持できる高架の施設が経済的である。さらに、埋め立て地の造成も日本のような地盤改良工事は必要とされないので、都市建設上恵まれている。 本研究は大連市のみならず他の類似した都市でも参考になり、中国大都市の交通問題解決に大きく貢献することが期待される。また中国側から3年間に6名が来日し、日本の交通および土質工学の実情を視察して関係資料を多く入手したことは、中国における今後の研究に大きく寄与するものと考えられる。日本側からも3年間に交通計画、交通工学、地質学、土質工学の専門家が延べ10名訪中し、中国の交通問題、建設技術等を認識することができた。また、日本の研究現況に対する多くの中国人の理解を得ることもできた。
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