研究課題/領域番号 |
62045038
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研究種目 |
国際学術研究
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 大学協力 |
研究機関 | 立教大学 |
研究代表者 |
笠原 清志 立教大学, 社会学部, 助教授 (80185743)
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研究分担者 |
EDI Dumusvic ワルシャワ大学, 社会学研究所, 助教授
BOGDAN Cicho ワルシャワ大学, 社会学研究所, 教授
安村 克巳 立教大学, 社会学部, 非常勤講師
REGINALD Wil (R ウィリアムス) 立教大学, 社会学部, 非常勤講師 (10193781)
CICHOMSKI Bogdan Institute of Sociology, Warsaw University
DUNUSVIC Edi Institute of Sociology, Warsaw University
パーウェル ワルゼンスキ ワルシャワ大学, 社会学研究所, 助手
エジィ ドュロニュスービ ワルシャワ大学, 社会学研究所, 助教授
ボクダン K チホムスキ ワルシャワ大学, 社会学研究所, 教授
安村 克己 立教大学, 社会学部, 講師
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研究期間 (年度) |
1987 – 1989
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研究課題ステータス |
完了 (1989年度)
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配分額 *注記 |
5,900千円 (直接経費: 5,900千円)
1989年度: 2,000千円 (直接経費: 2,000千円)
1988年度: 1,900千円 (直接経費: 1,900千円)
1987年度: 2,000千円 (直接経費: 2,000千円)
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キーワード | Q、C活動 / 企業内教育 / クレデンシャリズム(職務資格主義) / ラディカルな平等主義 |
研究概要 |
電機産業におけるQ、C活動と企業内教育 ー日本とポーランドの場合ー ポーランドにおいては、Q、C活動や企業内教育システムは体系的な調査や科学的研究の対象とはなっていなかった。しかし、経済改革の進行に伴い、西側企業との合併、あるいはダイハツの進出が決定的になるにつれ、日本的なQ、C活動や企業内教育システムへの関心は徐々に強まりつつある。 当研究プロジェクトは、合計3回の共同調査を実施した。「労働と職務意識」の調査は各工場、職場での留め置き方式によって「人事部長のキャリアパターンとその意識」と「企業内教育システム」の調査は郵送方式によって行なわれた。各調査ともアンケート作成は笠原が担当し、調査そのものはワルシャワ大学大学社会学研究所のB.チホムスキー教授の指導で行なわれた。3回の調査ともアンケート調査をフォローする形で、各関係者及び担当者を対象とするヒアリング調査を何回となく実施された。しかし、企業内教育の実態・比較調査のデータ処理にはあと2カ月ほどかかるところからQ.C活動や企業内教育を支える管理者層と一般労働者の「労働と職務意識」について報告したい。 1「労働と職務意識」の調査について この調査は、ポーランドにおける電機及び電子産業の17の工場、そして下級管理者と一般労働者1700名を対象にし1989年に実施された。回収率71.2%、サンプル数1211名である。質問票は八章74項目からなり、各章の内容は下記の通りである。 1)労働満足 2)労働満足度 3)労働条件 4)労働者評議会 5)職業教育 6)家族生活とインフォーマルな接触度 7)管理者の選出 8)不平等感 9)家族と家庭状況 10)両親の学歴と職業 11)教育程度及び社会政活組織への加盟状況(党、労組、労働者評議会)※主要な項目に関しては単純集計だけでなく、階層別、年齢別、性別等のクロス集計も行なっている。 ポーランドにおいても、クレデンシャリズム(職務資格主義)が浸透しており、自分の職務能力は自分の努力で身につけた商品であるという意識が強い。したがって、仕事を通じての指導(オン、ジョブ、コーチング)が大事だとされても、上司や先輩は部下や後輩を積極的に教育しようとはしない。その上、同じ職場においても、階層間(上司と部下)の間でのインフォーマルな接触の量がきわめて少ない。ポーランドにおいては共働きが一般的であるだけでなく、サ-ビスの商品化が遅れていることもあって、男性の家事、育児の負担がかなり大きな比較を占めている、このことは、Q、C活動を日本の如く職場の小集団活動として展開したり就業時間後のQ、C活動には無理があることを示している。 他方、ポーランドの労働者層の中には、ラディカルな平等主義的意識が浸透している。このような平等主義は、急速な産業化で農民層の意識が労働者階層の中に直接、持ち込まれたものである。それはまた、資本主義の不平等性を告発した社会主義の理念が彼らの認識枠組に与えたインパクトの結果でもある。このような考え方は、経済においての外廷的発展から質的発展が求められるような段階になると、経済の効率化や社会の発展を抑えるような機能をもってくる。というのは、平等主義的意識が過度に浸透していると、経営機能や専門職機能を正当に評価することが困難になるからである。それは、経済改革後に問題となるであろう能力主義的管理や効率的な人事管理の実施をいっそう困難なものにするであろう。
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