研究分担者 |
黒川 一哉 北海道大学, 工学部, 助手 (00161779)
室賀 健夫 九州大学, 応用力学研究所, 助教授 (60174322)
河西 寛 東京大学, 工学部, 助手 (40010970)
井関 道夫 名古屋大学, 工学部, 助手 (70023124)
阿部 勝憲 東北大学, 工学部, 教授 (70005940)
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研究概要 |
将来の本格的なバナジウム合金開発に先行した基礎的研究として, 核融合炉環境で問題となったいる事柄を中心に研究を進めてきた. 以下に得られた研究実績の概要をテーマ毎に述べる. 1.高温強度と高温脆化:1〜5at%のTi,CrあるいはFeを含有するV基二元合金の高温固溶硬化能を比較検討した. その結果, 固溶硬化はFeが最大となり, Cr,Tiの順であることが明らかとなった. これは寸法効果により理解できた. しかし600℃以上の高温域ではTiとCrの固溶硬化が相対的に増加してくることが認められ, 合金元素と侵入型不純物元素とのクラスターが硬化に効いてくることが示唆された. 2.照射効果とミクロ組織:照射実験には, RTNSーII,JOYO,JMTRを用いて, 主に電子顕微鏡により組織観察を行なった. (1)純VおよびN,O含有材では, 純Vがある一定の照射量で硬化が飽和するのに対し, N,O含有材は照射量の対数に対して直線的に硬化することが見出された. (2)VへのBの添加は微細な欠陥クラスターの数密度を3〜4倍も増加させ,このクラスター1個あたり2〜3個のHe原子を含んでいることがわかった. またO,N,Cのような不純物原子が関与した析出物が観察されたが, 照射量の増加に伴ないこの析出物はマトリックス中に再固溶することが見出された. (3)照射による二次欠陥クラスターのTi濃度依存性に関して, 発生したクラスター密度はTi濃度に依存しており, Ti濃度の高い合金ほど少なく, 合金の機械的性質の変化と良い相関を示した. (4)格子間不純物原子による転位の強いトラップ効果が250℃以上の照射温度でみられ, これはTi濃度依存性がほとんどみられなかった. 3.耐酸化性:Crの添加がV合金の耐酸化性向上に最も効果が大きかったが, SiCとの反応によって形成されるケイ化物と炭化物から成る表層化合物がVーTi合金に対しても顕著な耐酸化性の向上を与えることがわかった.
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