研究概要 |
核融合実験装置に使用される超電導コイルに要求される特性の一つとして冷却系を含む超電導コイル系の占める部分の小型化と関する限界を明らかにすることが求められている. 本研究では従来小型超電導マグネットにおいて, 最も電流密度を上げる方式として実績のあるエポキシ含浸コイル方式を対象とし, その冷却条件と蓄積エネルギーとの関係から大容量化への可能性を販ることを目的として以下の成果を得た. (1)含浸コイルの設計基準を導入することを目的に, まず正方断面の円形コイルについて, 蓄積エネルギーと最大許容電流密度の関係を求めた. 計算の結果はコイル半径をパラメータとするグラフによって与えられる. 一例として, Packi ng factor 0.78のエポキシ含浸コイルで, 最大許容温度を100Kとすれば, 蓄積エネルギーが系外に放出できなかった場合に相当する最大許容電流密度と蓄積エネルギーの関係は, Qp(Jcoil)^3=10^<25>となり, 従来一つの基準として表されているQp(Jcoil)^2=10^<23>と比較するとQp>10MJに於て, 電流密度の改善が計れることを示している. (2)Quench Simulationの結果は, 断熱系を仮定し, 且つ, 最密充填されたエポキシ含浸コイルに於て, 前出グラフの予測値と良く一致することが示された. (3)クエンチ後の安全対策として, 二次カップリングコイルへの蓄積エネルギー-の放出方法を検討した結果, カップリング係数0.6程度で効果のあることが示された. なお, 常電導成分の伝搬速度に関しては, 大型試作コイルによる実証実験を更に進めることが必要である.
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