研究概要 |
核融合炉超電導マグネット構造機器の健全性評価にあたっては, 既存の破壊力学に基礎を置く評価コードだけでは不十分であり, 新たに核融合炉特有の現象に関する基礎研究の充実と, これを踏まえた電磁破壊力学の基づく評価システムの開発が望まれる. また, き裂材の電磁弾性相互干渉, 欠陥近傍における電磁場誘起特異応力あるいは塑性変形誘起温度上昇, 極低温下における複合材の熱収縮による内部応力等の解明は, 極低温強磁場下の構造機器の安全性評価において不可欠な基礎研究である. 本研究では, 以上の点に鑑み, 超電導マグネット構造部材を対象に, 極低温, 電磁場等の実際的環境を考慮し, 電磁破壊に関する静・動力学的挙動を理論的に解明した. また, き裂進展に伴うき裂先端温度上昇に注目し, 実験および理論両面から極低温電磁破壊力学的検討を行った. 得られた成果を要約すると, 以下の通りである. 1.強磁場下における構造材の非定常応答 非定常条件下における電磁破壊強度に関する2,3の基本的問題を設定し,電磁弾性解析を行って訓細に検討した. まず最初に, 強磁場下の強磁性板の曲げ衝撃強度について検討し, 次に, 強磁場・非定常電流下の電導体の電磁破壊強度について検討した. 2.軸方向磁場内における円柱状空か縁に内周環状き裂を有する電導体の定常電流による特異応力 電磁力による応力拡大係数を解明した. 3.電磁場下におけるき裂を有する電導平板の特異応力 電磁弾性板理論の基礎式を導き, 電磁力によるモーメント拡大系数, せん断力拡大係数を解明した. 4.極低温におけるき裂を有するガラス繊維強化プラスチックの特異応力 5.極低温における破壊に伴う断熱温度上昇とその数値シミュレーション 破壊による熱発性を解明した.
|