研究概要 |
ガス冷却方式ブランケットの伝熱改善策として気体中に固体微粒子を分散させた固気混相流を利用するという構想に基づき, とくに今年度は, トリチウム増殖部分の冷却に擬せられる曲円管内流の伝熱特性に及ぼす粒径の影響を明らかにするとともに, ブランケットで予想される複雑な幾何形状の伝熱流動解析に資する目的でストカスティックモデルによる固気混相媒体の数値計算コードを開発した. 前者では, グラファイトまたは大きさの異なる数種のガラス粒子を使用した混相媒体を用いて一連の伝熱実験を行ない, 微細な粒子では粒子の添加によって熱伝達係数は大きく増加する一方, 比較的粗大な粒子では, 伝熱量そのものは増加するものの媒体の熱容量の増加を考慮した平均ヌセルト数はそれほど増加せず場合によっては単相流よりも低下することを明らかにした. また, 曲率比の大きな曲管ほど粒子添加による伝熱促進効果が大きいことを明らかにした. さらに一連の実験を通じて微細なグラファイト粒子では管路に対するエロージョンは軽微であることが分った. 一方, ストカスティックモデルの開発では, (1)壁と粒子との相互作用の定式化, (2)粒子の運動を追跡する際のレイノルズ応力場の反映のさせかた, (3)気流の基礎式, 特に乱流モデルに対する粒子の影響の定式化, などの問題点を解決して鉛直上昇管内流の計算コードを試作した. これにより粒子相の平均速度, 粒子数密度, 気流の乱流エネルギーなどを合理的に予測できることを示した. 本計算手法の確立によって, かなりの複雑な体系の伝熱流動解析を行う基礎が得られたので, 今後はこれとふく射輸送方程式を組合わせた衝突噴流体系の流動伝熱解析コードを作成し, 本構想の核心である第一壁での伝熱特性の評価をより正確に行なって本構想の具体化を目指す. さらに, 実際に予想される温度圧力条件や構造材料に立脚して管路のエロージョンの定量的評価を行なう予定である.
|