研究概要 |
磁気閉じ込め型核融合装置および励磁用超電導エネルギー貯蔵装置には超電導マグネットが不可欠であり, この超電導マグネットの確実なクエンチの検出および保護は極めて重要である. このため, 新しい方法として超音波を用いた超電導マグネットのクエンチの検出法の研究を進めてきたが, 特に今年度は新規に購入したFFT・ディジタル・オシロスコープを用いて広い周波数範囲にわたった連続スペクトラム信号による内部異常の検出を試みた. すなわち, 送信用圧電素子によりDC〜1MHzのほぼフラットな特性を持つ擬似白色雑音を超電導マグネットに入射し, 伝播してくる受信波を受信用圧電素子で検出してその周波数スペクトラムを求め, その変化によりマグネット内の局所的温度上昇あるいは応力変化の検出を試みた. その結果, 以下の知見と成果を得た. (1)入射超音波信号は超電導マグネット内部を伝播するとき, そのマグネット固有の伝達関数により変調され, 固有の周波数スペクトラムを示す. (2)超電導マグネット内部で1〜2度程度の局所的な温度上昇が生ずると, 上記の周波数スペクトラムは変化する. (3)超電導マグネットの内部状態が変わらなければ, その周波数スペクトラムも変化しない. (4)受信した超音波信号をディジタル信号処理することにより, 変化量を定量化することが出来た. (5)入力熱量0.5J程度のパルス的な局所点加熱(加熱部の体積は全超電導マグネットの体積の1万分の1程度)による加熱実験により, 過渡的な信号変化をとらえ, 内部異常を検出することが出来た.
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