研究分担者 |
古賀 憲司 東京大学, 薬学部, 教授 (10012600)
生越 久靖 長岡技術科学大学, 工学部, 教授 (90026188)
三川 潮 東京大学, 薬学部, 教授 (60012613)
野副 重男 東北大学, 薬学部, 教授 (50013305)
亀谷 哲治 星薬科大学, 学長, 教授 (80004521)
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研究概要 |
最も付加価値の高い物質の一である医薬・農薬など生理活性資源の開発を目標とし, 資源の効率的利用を行っている生物の機能の応用を基本戦略に掲げ研究を行い, 最終年度一応の結論と展望を得ることが出来た. 1)生物機能を範とした触媒の創製 二つの独立した取り込み・認識部位を一分子内にもつビスシクロファン型ホスト分子, 『induced-fit』型ホスト化合物に疏水性ビタミンB12を組み込んだホロ酵素系, 電子伝達系を考慮した高効率的酸素酸化システムを有するチトクロームP-450モデル系の構築にそれぞれ成功したが, 基質認識・取込み・活性化機能のより精密化を実現しえた点で, 酵素類似機能性新規人工触媒による既知生理活性物質の効率的合成, 新規活性物質開発への応用という所期の目的に大きな展望を与えた. 2)資源転換のための合成的利用法の確立 未利用資源の高付加価値物質への転換, 天然生理活性物質の変換による新機能の発見, その手段として生物機能を利用する立場から, 生体内酸化的脱アルキル化反応の効率的化学モデル系を構築し, 未利用資源の典型であるリグニンからドーパミン, また多くの天然物から生理活性カテコール類へ資源転換しうる方法, 入手容易な天然ステロイド類から高付加価値物質である植物成長ホルモンへの効率的合成法, 安価な有機化合物から汎用性の高い光学活性生理活性物質合成中間体をパン酵母や微生物を用いて変換する方法を, それぞれ確立した. 3)酵素機能を用いた生理活性資源評価法の確立とそれらを用いた有用物質検索 資源の有用性はその評価法の確立に依存する, が酵素反応を利用した簡便迅速, 省資源的な生理活性検索法を確立し, 種々の生薬成分などから抗血栓薬など幅広い薬効が期待できる強力な化合物の探索に成功した. これらは資源の再評価と高度利用を目指す本特定研究の所期の目的に沿った成果として高く評価される.
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