研究分担者 |
藤井 敏嗣 東京大学, 地震研究所, 助教授 (00092320)
増田 俊明 静岡大学, 理学部, 助手 (30126164)
伊藤 英司 岡山大学, 地球内部研究センター, 助教授 (00033259)
大谷 栄治 愛媛大学, 理学部, 助教授 (60136306)
沢本 紘 名古屋大学, 理学部, 助教授 (00022707)
|
研究概要 |
固体地球科学における基本問題の1つは 地球内部における大規模流動(マントル対流)と大規模物質分化(リソスフェア・マントル・核の分化, マントルの層構造の形成)の様相を明らかにすることである. この問題に対し物質科学的アプローチ(実験とシミュレーション)を目ざすのが本研究である. 実験は主として超高圧実験, 流動実験にもとずきおこなわれた. 1.高温高圧下におけるマントル物質の熔解・相平衡. 地球形成初期のマグマオーシャン内での分化によってマントルの層構造がつくられたとするモデルにしたがってモデルマントル・コンドライト組成の物質の高温, 高圧熔融実験をおこない25GPa, 2000°Cにわたる領域での相関係を明らかにした. 2.高温高圧下におけるマントル物質の相平衡(サブソリダス). MgSiO_3組成の鉱物などの高温高圧相平衡が明らかにされ, その相転移曲線とマントル対流への影響が明らかにされた. 3.地球の形成初期での核の形成(マントル・核の分離)を高温高圧実験によってシミュレートし, 金属・シリケイト分離にともなう軽元素(O_2Sなど)の分配, Niの分配を決定した. 特にNiの分配は大きな圧力依存性が明らかになりマントル・核の平衡条件がより現実的なモデルで論じられるようになった. 4.上部マントルの主要な構成鉱物であるオリビンの応力下で示す選択配向のメカニズムが明らかにされた. これは地震波速度の異方性の解釈に有用な情報である. 5.マントルの主要鉱物の塑性流動応力が決められた. 上部マントル下部に存在するガーネット相の流動応力が他の鉱物よりも高いことが示され, マントルの流動・マントル対流に重大な影響をもつことが明らかになった.
|