研究概要 |
筋肉収縮, 種々の細胞運動, 細胞分裂, ゾルーゲル変化などの細胞機能は10^<-6>M程度のCa^<2+>によって調節されている. この班ではわが国で発見された種々のCa受容蛋白質, ライオトニン, カルモジュリン, カルデスモン, フラグミン, アクチノゲリンなどの分子構造と機能について, 生化学, 生物物理学, 分子遺伝学, 細胞生理学などの新しい手法を使って研究した. 泰野は粘菌の変形体から新しいCa感受生, F-アクチン切断因子を精製した. 江橋は平滑筋収縮のCaによる調節がライオトニン(155kD)によることを確認した. 浅野はアクチノゲリンのCa結合部, 及びαアクチニンとの類似部のペプチドの一次構造を決定した. 安楽はカルモジュリン遺伝子を制御することによってカルモジュリンが酵母の分裂に必須であることを示した. 池田はホスホリパーゼA2とCaの結合によって基質と酵素の結合が10倍以上増すことによって酵素活性が活性化されることを示した. 尾西はミオシン頭部のATPase活性部のアミノ酸配列を決定した. 神谷はクラミドモナスの2本の鞭毛が別々にCaによって調節されていることを示した. 黒田は粘菌のカフェインドロップを用いて細胞質が収縮後ゾル化する時その部分でCaが10^<-5>M程度に上昇していることを示した. 清水は^<43>CaNMRによってCaとカルモジュリン, S100蛋白質の結合を測定することに成功した. 月田は動物細胞の細胞接着装置の蛋白質を多数分離した. 深見はカルモジュリンが燐酸化されるときSer,Thr,Tyrのアミノ酸が燐酸化されていることを示した. 祖父江はカルデスモンに高分子量(150kD)と低分子量(80kD)があることを示しそれぞれ違った組織に分布することを示した. 丸山は分子量45kDのアクチン重合阻害蛋白質を牛動脈から精製した. 渡辺はテトラヒメナ繊毛のCa結合蛋白質を精製しそのアミノ酸配列を決定した.
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