研究分担者 |
田中 千賀子 神戸大学, 医学部, 教授 (20025571)
浅野 郎 札幌医科大学, 教授 (30029938)
村地 孝 京都大学, 医学部, 教授 (10089104)
遠藤 実 東京大学, 医学部, 教授 (50009990)
野沢 義則 岐阜大学, 医学部, 教授 (10021362)
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研究概要 |
細胞情報の増幅伝達系においてカルシウムイオン(Ca^<2+>)が重要な役割を果している. ある一群の細胞刺激に際して, イノシトールリン脂質(PI)が分解され, ジアシルグリセロール(DG)とイノシトール三リン酸(IP_3)の産生が誘起される. DGはセカンドメッセンジャーとしてプロテインキナーゼCを活性化し, 同じくIP_3はCa^<2+>の動員を促進してCa^<2+>受容蛋白質を活性化する. 最近, Ca^<2+>による細胞機能調節の解明においてこれらのCa^<2+>受容蛋白質やCa^<2+>調節蛋白質の作用機構の重要性が急速に増大している. 本総括班では過去3ヶ年にわたってCa^<2+>受容蛋白質やCa^<2+>調節蛋白質の作用機構と高次細胞機能調節における役割について総合研究を実施している. その結果, 細胞刺激に対応したPIの分解によるセカンドメッセンジャーの産生に働くホスホリパーゼCを酵素活性を持つ蛋白質とGTP結合蛋白質に分離した. 今後の重要な課題の一つとなっている細胞膜上での外界情報受容体との共役機構の解明に重要な手がかりとなっている. 一方, 情報の増幅伝達に作動するプロテインキナーゼCの多様な分子種のうち主要な4種の全構造を決定し, 分離された酵素蛋白質との対応を得た. それぞれの活性化機構生体内分布や機能の特異性を解析し, この酵素の多様性が程々の外界情報によって引き起こされる細胞応答の多様性に重要な意義を持つことが確実となった. いま一つの作用点であるカルモジュリンやフラグミン, Ca^<2+>依存性プロテアーゼ等のCa^<2+>受容蛋白質とその結合性蛋白質の顆粒分泌やエンドサイトーシス等の具体的細胞機能における動態とその意義についても知見が得られつつある. 次年度は最終年度であることをかんがみ, これら個別領域の優れた研究を統合結集し, その知見に立脚してシナプス機構, 免疫応答などの高次細胞機能調節の生理とその病態の統合研究をとりまとめ, 我国におけるCa^<2+>と細胞機能に関する研究の維持向上を計る.
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