研究分担者 |
西川 一八 名古屋大学, 理学部, 助手 (60109262)
藤井 敏 大阪大学, 薬学部, 助教授 (10107104)
神藤 平三郎 東京薬科大学, 薬学部, 助教授 (80138966)
磯野 克己 神戸大学, 理学部, 教授 (70011640)
京極 好正 大阪大学, 蛋白質研究所, 教授 (90012632)
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研究概要 |
核酸の塩基配列という一次構造の情報を種々の機能に関連するドメイン毎に解析し, 空間的なコンホメーションを通じて情報発現の分子機構を解明しようとするのが本研究の目的である. 本年度行った研究の成果は次の通りである. 1.特異的な塩基配列のとるコンホメーションを調べるため, オリゴ核酸を対象としてNMRやX線結晶解析による構造研究を行った. 核酸の情報の認識に高次構造が関係する可能性が強く, 種々の合成オリゴヌクレオチドの屈曲性や熱安定性を研究した. 結果として溶液中では結晶中とは異なる構造もとるようであり, それ程特異的な構造は検出されなかった. また12種のデカヌクレチドを合成し, 化学シフト, 熱安定性, プロトン交換反応等の系統的な測定を行った. その結果局所的構造に最隣接塩基が重要な役割を果していることがわかった. 2.tRNAの一部を改変しコドンーアンチコドン相互作用やアミノ酸受容能に及ぼす影響を調べた. 結果としてマグネシウムイオンの効果が著しく, 低濃度になると活性がなくなり高次構造が崩れることがわかった. これにより熱感受性が説明できた. リボゾームRNAについては, 遺伝子重複の機構が推定された. 3.核酸ドメインの立体構造を認識し結合するDNA結合蛋白の構造をX線結晶解析により決定した. この蛋白のDNA結合部位はBシートであることがわかった蛋白と相互作用する核酸ドメインの塩基配列特異性を翻訳開始点に限って解析した. RNA分子の2次構造安定性は配列に依存するが, mRNAの場合同義語コドンの3文字目が安定性と関連して決められていることがわかった. 4.コンピュータグラフィクスにより核酸の動的構造を図示する方法を確立した. 5.核酸および蛋白質の構造データを収集, 収録, 編集し, データ解析の例として膜蛋白の配列特異性をしらべた. 情報データベースの解析ソフトの開発を行った. 本年収集文献数は1700である.
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