研究分担者 |
常脇 恒一郎 京都大学, 農学部, 教授 (20026438)
山縣 弘忠 京都大学, 農学部, 教授 (40026373)
山口 彦之 東京大学, 農学部, 教授 (40011829)
蓬原 雄三 名古屋大学, 農学部, 教授 (70023405)
大村 武 九州大学, 農学部, 教授 (40038170)
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研究概要 |
植物育種体系の再構築を目的として, 遺伝情報の発現, 調節機構を個体・組織・細胞・分子の各レベルで関連づける研究を進めてきた. (1)個体レベルでの遺伝解析…イネ胚乳中のプロテインボディーのポリペプチド組成の異なる突然変異体からesp-1〜3を分析し, esp-1はesp-3に対して上位で, esp-3の母性遺伝を抑える作用のあることを解明した. オオムギで, ダイアジノン感受性遺伝子Dizの第1染色体上の座位を確定した. 日本品種に局在するアミラーゼの構造遺伝子を見出し, その酵素活性は内生ジベレリン生成量と発芽初期に相関が高かった. (2)遺伝変異の拡大と保全…シスプラチンが染色体の小欠失を誘発した. スライド上でDNAの二本鎖と一本鎖切断を検出する方法も開発した. イネの突然変異誘発遺伝子は各種の質的または量的形質について優劣両方向への突然変異を誘発した. 交配と選抜により, 両親からの有利な遺伝子を集積して, イネの窒素固定能を強めることができた. (3)細胞質遺伝子による形質発現…イネの葉緑体DNAの物理地図を作成し, 14種の遺伝子の位置を決めた. コムギおよび近縁種よりのRuBisCoに係わる遺伝子rbcLの構造について8個の塩基置換と4個の挿入・欠失変異を明らかにした. ライムギのIRやミゼット染色体(m)にはライムギ細胞質置換の普通コムギ系統の種子発達に関する遺伝子があった. イネとマメ科牧草バーズフットトレフォイルの細胞融合よりの雑種カルスから奇形茎葉を分化させるまでに至った. テンサイのミトコンドリアゲノムの多型性と個体レベルの細胞質型とは完全に一致し, TA-2-0なる判別系統の各種の不稔細胞質型系統を交配し, F_1代の花粉稔性回復程度によりS, S-2, S-4の各型を明確に区別できた. SとS-4間の相反的維持-稔性回復親関係や細胞質源の拡大は育種的利用に役立つと思われる. 以上の如き諸知見を育種の技術革新に役立てたい.
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