研究分担者 |
中野 昭一 東海大学, 医学部, 教授 (00055716)
黒田 泰弘 徳島大学, 医学部, 教授 (20035471)
和田 義郎 名古屋市立大学, 医学部, 教授 (30004849)
平賀 紘一 富山医科歯科大学, 医学部, 教授 (40004733)
立木 蔚 東北大学, 抗酸菌病研究所, 教授 (90006065)
|
研究概要 |
多田らはこれまで糖原病Ib型の病因が肝ミクロゾーム膜におけるグルコースー6-リン酸(G6P)の輸送系の障害にあることを明らかにして来た. 本研究ではラツト肝ミクロゾームを用いG6P輸送系の質的解析を行ない, この輸送系の最大輸送速度が25.0±0.7nmol./mg protein/30sec.であり, 半飽和濃度は1.12±0.09mMであることを示した. この輸送系を介してのG6Pの取り込みに対してグルコース, ガラクトース, フルクトース等の單糖体あるいはATPやピロリン酸はほとんど影響を与えないがsugar-phosphateは強力ではないが競合的阻害を示した. さらに輸送系への親和性の決定には糖鎖とリン酸基の存在及びその結合部位, さらに糖鎖の構造, その中でもピラノース環第2位のOH及びHの位置が重要であることが明らかにされた. 糖原Ib型の乳児型ではミクロゾーム膜におけるG6P輸送系は完全に欠損しているが, 遅発型の成人の例では若干の輸送能が認められ, 解析の結果輸送系に対するG6PのKmが正常の16倍の高値を示すことが見出された. 立木はラット肝ミクロゾームから, G6P輸送担体の分離精製を試み, translocaseとphosphohydrolaseの活性を分別定量しそれぞれの性状を解析し, 種々の栄養條件, 病態, 分化過程での該酵素活性の挙動を観察しその差異を明らかにした. さらに肝ミクロゾームの可溶性蛋白の特定画分をリポゾーム膜に取り込ませることに成功し, G6Ptranslocaseの精製に有用であることを示した. 平賀らは高グリシン血症の欠損酵素であるグリシン開裂酵素系(4つの蛋白から成る複合酵素)のgene cloningを試み, H-蛋白をコードするcDNAのクローニングに成功その構造を決定し, さらにP蛋白をコードするcDNAのクローニングにも部分的に成功している. 桃井は各種ヒト遺伝性筋疾患由来の筋細胞にSV40DNAを導入し安定な増殖能を示す細胞株の樹立に成 した. これら細胞株は遺伝性筋疾患の病因解明に有用であると期待される.
|