研究分担者 |
帯刀 益夫 東北大学, 抗酸菌研究所, 教授 (10099971)
服巻 保幸 九州大学, 遺伝情報実験施設, 助教授 (90128083)
荻田 善一 富山医科薬科大学, 和漢薬研究所, 教授 (40109111)
松田 一郎 熊本大学, 医学部, 教授 (10000986)
森 生敬 熊本大学, 医学部, 教授 (40009650)
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研究概要 |
本研究班は分子生物学および分子遺伝学の手法を用い, 先天代謝異常症の病因解析, 診断法および治療法の開発を目指した研究を行ってきた. 本年度は以下の成果を挙げ得た. 佐伯はシトルリン血症III型の病因がmRNAのスプライシング過程にあることを推定出来る結果を得, 遺伝子の一部をクローン化した. またアルギンノコハク酸リアーゼのCDNAの塩基配列を明確にした. 島田は多くの偽遺伝子のある中から発現するアルギンノコハク酸合成酵素遺伝子の制限酵素切断片多形性を検出する方法を開発した. 森はヒト肝型アルギナーゼの遺伝子の全構造を明らかとし, その制限酵素切断片多形性を見出した. 松田はプロリダーゼのCDNAをクローン化し, その塩基配列を決定した. またプロリダーゼ欠損症での蛋白レベルの異常を明らかにした. 山泉は色素性乾皮性のA群とC群の欠損因子を精製し, その性質を明らかとした. 服巻はサラセミア2症例の遺伝子解析を行い, それらがエクソン部の一塩基置換による不安定ヘモグロビンと非相同組換えによる8βサラセミアであることを明らかにした. 佐藤は無アルブミン血症の復帰突然変異と考えられる現象が発癌物質の投与によって促進されることを明らかにした. 山本は高脂血症患者で見つけたアポEの変異(E5)の遺伝子解析を行い, Glu→Lysの一アミノ酸置換によることを明らかにした. 帯刀は乾細胞に移植された遺伝子がその細胞の分化に依存した発現を示すことおよび多くのコピーの移植は細胞内にあるトランス作用性因子を奪い, 内左性の遺伝子の発現を抑制することを見い出し, 遺伝子治療への応用の道を開いた. 荻田は遺伝子治療法の開発を目指し, 多くの基本的手法の改良を行い, また疾患モデル動物の作成を試み, 移植遺伝子の発現を確認出来た. 以上の研究に多種多量の制限酵素およびアイソトープが使用された.
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