研究概要 |
この研究班は全体を4グループに分けて, 研究を分担している. 第1グループは意味用法の対照研究を分担する. 語構成については英語の接尾辞ableと日本語の「可能」の比較対照をすすめ, 作業動作関係語彙の記述では動詞を収集してその格構造を分析した. 認知意味論の研究ではその枠組みの具体化を行い, 英語の基本動詞の分析を行った. 第2グループは機械翻訳における訳語選択を分担する. 機械翻訳における訳語選択に必要となる意味解析をおこなうためには, 意味マーカ以上に微細な概念の体系が必要となる. 特に概念の上位/下位関係による階層化が意味解析および訳語選択の立場から重要であることを明らかにした. このとき, 階層化すべき概念を語義とする考え方があるが, それを知識表現の立場から検討し, 問題点を指摘し, その解決策を提案した. 以上の検討結果をベースに約4千の概念の上位/下位による階層化をおこなった. 第3グループは連語の問題を分担する. 日独両言語の文構造を統語的・意味的基準にもとづいて以下のような項目について調査を行った. 1)動詞の格支配による分類, 2)自動詞・他動詞の対応をもつもの, もたないもの, 自他動詞, 絶対他動詞など, 3)無生物の主語をとる動詞, 4)動詞の「行為性」と「結果性」の検討, 4)反義性をもつ動詞の形態的特徴. あわせて両言語の動詞の文法範疇を吟味した. 第4グループは法情報に関する日英対照を分担する. 法情報を知識, 義務, 様態, 伝聞, 希望に分け, 日本語ではそれぞれ異なった表現を用いるが, 英語では知識と義務の間で同じ表現を用いることがある. それぞれの法情報のなかでのいろいろの表現の分布が日英語で対応しているとは限らない, さらに, 表現の文法範疇が多岐にわたっている, などが, 実際のデータを分析して明らかになった.
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