研究概要 |
(A)TSC法の有効性を高め, 従来データの欠除していた低温での捕獲断面積と, その温度依存性を測定した. 今の所10^<-15>cm^<-2>程度の値と, 弱い温度依存性が得られている. 点欠陥の低温での反応は, 試料依存性が非常に強く見られることから, まだ新鮮な一次欠陥ではなく, 反応后の二次欠陥しか観測していない可能性が高い. 表面再結合速度の改善の実験から, 表面準位について今迄有力であった"統一欠陥モデル"の修正が必要なことが示唆された. (B)波長制御レーザの基本となる分布反射器レーザの高性能化のために, 新たに島状メサ加工法という作製プロセスを開発し, 従来の分布反射器レーザを上まわる発振特性と作製再現性を得た. また発振線巾の共振器構造依存性を理論解析により明らかにすると共に, 実際に試作した素子を用いて線巾を測定し, 理論との良好な一致を得, 分布反射器レーザの発振線巾狭化のための構造設計の基礎を明らかにした. (C)縦横共に10μm以下の微小共振器面発光レーザの形成技術を確立した. また良好な単一波長性を確認し, 二次元アレーを実現した. (D)ラマン分光システムで, 波数の精密計測の技術を確立し, 0.1cm^<-1>の精度が得られた. これにより, ZnSe/GaAsエピタキシアル膜の歪を求め, X線解析とよく一致した. GaPのPN接合で, キャリア濃度及び移動度の空間分布が得られることを実証した. キャリア濃度の検出限界は, 2〜3×10^<16>cm^<-3>であった. (E)分布帰還型構造により, 0.6μm帯の半導体レーザの縦モード制御を行ない, 室温でのレーザ発振に成功した. 発振波長は, 室温で660nm, しきい値の1.25倍までの電流範囲及び, 22から-24°Cの温度範囲で, 安定な縦モード発振が得られた. 発振波長の温度変化率は, 0.04nm/degであって, 通常のレーザの1/4となり, 高安定性が得られた. リソジ導波路構造レーザを試作し, しきい値の3倍まで, 基本モードを得た.
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